蝸牛ででむし)” の例文
栗鼠りすは野山に日を暮らし、巡礼しばしもとどまらず。殻を負ひたる蝸牛ででむしはいつまで殻を負うてゆくらむ。
第二真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
蝸牛ででむし角立つのだてて何の益なし、残念や無念やと癇癪かんしゃくきばめども食付くいつく所なければ、なお一段の憤悶ふんもんを増して
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
斯ういうところは如何にも天真爛漫ナイーブで、俳人気質丸出しだね。あの人の句に、『蝸牛ででむしや清和源氏が鼻の下』というのがあるが、恐らくこの時の感想を現したものだろう。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
二十六年故山こざんを出でて、熊谷の桜に近く住むこと数年、三十三年にはここ忍沼おしぬまのほとりに移りてより、また数年を出でずして蝸牛ででむしのそれのごとく、またも重からぬからひて
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
何の蝸牛ででむしみたような住居すまいだ、この中に踏み込んで、まかり違えば、殻を背負しょっても逃げられると、高をくくって度胸が坐ったのでありますから、威勢よく突立つッたって凜々りんりんとした大音声。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
総体貴殿の様な、内にばかり居る者を、蝸牛ででむしといふは、どうござらふ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
君あれが蝸牛ででむしの背の渦巻のような、広いをかいて
のろのろと蝸牛ででむしのやうであれ
蝸牛ででむしの住はてし宿やうつせ貝
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
蝸牛ででむしの移り行く間の一仕事
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
蝸牛ででむし
雨情民謡百篇 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
栗鼠りすは野山に日を暮らし、巡礼しばしもとどまらず。殻を負ひたる蝸牛ででむしはいつまで殻を負うてゆくらむ。
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
城は蝸牛ででむし、何程の事やある、どうとも勝手にしやがれと、小宮山は唐突だしぬかれて、度胆どぎもつかまれたのでありますから、少々捨鉢の気味これあり、おくせず後に続くと、割合に広々とした一間へ通す。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こっちは蝸牛ででむし。殻を背負しょって歩く。
蝸牛ででむしその角文字つのもじのにじり書
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
蝸牛ででむし
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
蝸牛ででむしの角のさきの白玉はなばぬべし振りのこまかさ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
今は蝸牛ででむしの殻ばかりだ。10560
蝸牛ででむし其角きかく文字もんじのにじり書
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)