華麗かれい)” の例文
衆智しゅうちをあつめて衆智を越え、東山様式の因習いんしゅうを破り、大がかりなこと、豪壮ごうそう華麗かれいなこと、天下の耳目じもくをあつめるに足りた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとえば南洋なんよう蕃地ばんちさんする、華麗かれいなちょうのようなはなをつけたもの、はなじま波浪はろうせるがけのうえに、ぶらさがっているというみじかいもの
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
うわべだけの華麗かれいさに充たされながら、わずらわしく、暗く、かなしい半生を送らねばならなかった美少婦の、真実の心の悩みを知っていたのであった。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
一触いっしょくしてタイタニックを沈めた氷山である。華麗かれいな羅馬の文明を鉄蹄てってい蹂躙じゅうりんした北狄ほくてき蛮人である。一切の作為さくい文明ぶんめいは、彼等の前に灰の如く消えて了う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
中央に、なよたけが前幕と同じ華麗かれいな衣裳を身にまとって、冴え渡った星空を背景にして、立っている。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
こういうとただ華麗かれいな画のようですが、布置ふちも雄大を尽していれば、筆墨ひつぼく渾厚こんこうきわめている、——いわば爛然らんぜんとした色彩のうちに、空霊澹蕩くうれいたんとうの古趣がおのずかみなぎっているような画なのです。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのありさまはまったく一つの絵でした! 華麗かれいな広間、戦っている人々の群れ!
その花容かよう花色かしょくすこぶる多様で、紅色、紫色、白色はくしょく、黄色などのものがあり、また一重咲ひとえざき、八重咲やえざきもあって、その満開まんかいを望むと吾人ごじんはいつも、その花の偉容いよう、その花の華麗かれい驚嘆きょうたんを禁じ得ない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
小笠原の家臣は、華麗かれい鋲乗物びょうのりものを支度して、月下を燦々きらきらと、龍山公のお孫を迎えるべく蔵前片町へ出向いて行った。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)