荘子そうじ)” の例文
旧字:莊子
荘子そうじ』に「名はじつひんなり」とあるごとく、じつしゅにしてかくである。言葉も同じく考えのひん、思想のかくなりといいうると思う。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
周崩解して無数の独立国起こるにおよび、始めて自由思想がはなやかに咲き誇ることができた。老子荘子そうじは共に南方人で新派の大主唱者であった。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
椿チンは『荘子そうじ』に八千歳を春となし八千歳を秋となすと出ているのでこの椿を日本人が日本の椿ツバキと継ぎ合せて文学者が八千代椿ヤチヨツバキなどの語を作ったもので
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
桃太郎猿蟹合戦さるかにかっせんたぐいも珍らしからざるべく、また『韓非子かんぴし』『荘子そうじ』などにでたるも珍らしからざるべければ、日本支那のはしばらさしおきて印度の古話をあつつづ
印度の古話 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
荘子そうじ』に曰く、「至人しじんしんなり。大沢だいたくくるもくあたわず。河漢かかんこおれどもこごえしむるあたわず」と。また曰く、「死生しせいはまた大なり。しかるにこれと変ずるを得ず」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
荘子そうじの夢のわれ蝴蝶こちょうかを、差別しえない境遇にあった結果ではないかを考えしめる。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
『広益諸家人名録』に「下谷三枚橋、御先手組、儒。」としてある。成島確堂は文久三年八月侍講の職を免ぜられて閑散の身となった時、橘陰をその邸に招いて『荘子そうじ』を講ぜしめた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
荘子そうじのいわゆる鯤鵬こんぼうの説も、必ずしも寓言ぐうげんではないと、使いはさとった。
老子、荘子そうじ、列子
茶の本:02 訳者のことば (新字新仮名) / 村岡博(著)
前半は巵酒ししゅ 歓楽、学業の荒廃を致さんことを嘆じ、後半は一転して、真楽の自得にありてそとに待つ無きをいう。伯牙をろうとして破琴をあわれみ、荘子そうじを引きて不隠ふいんを挙ぐ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ツバキを賞讃して八千代椿やちよつばきと称える訳は支那に『荘子そうじ』という書物があってその書中に「大椿タイチンナルモノアリ八千歳ヲ春トナシ八千歳ヲ秋トナス」(と漢文)の語がある。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
現時の人類がいまだ人間にならざりし時代、すなわち今日よりもなお低き境遇きょうぐうにありしころの経験を、夢の中にあるごとく、折々繰り返すことあれば、荘子そうじは高き思想界に入ってのち
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)