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苦鳴
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くめい
もみ合っているふたりのあいだから、おそろしい
苦鳴があがった。さては、民部が首をかき落とされたか、
呂宋兵衛が
脾腹をえぐられたか、どッちか一つ。
七
尺有餘の
猛狒は
苦鳴をあげ、
鮮血を
吐いて
地上に
斃れた。
私と
少年とは
夢に
夢見る
心地。
韋駄天の
如く
其傍に
走り
寄つた
時、
水兵は
猛獸に
跨つて
止めの
一刀、
海軍士官は
悠然として
此方に
向つた。
虎は
比較的愚な
動物で、
憤然身を
躍らして、
鐵車の
前方から
飛付いたから
堪らない、
恐る
可き
旋廻圓鋸機のために、
四肢や、
腹部を
引裂かれて、
苦鳴をあげて
打斃れた。
最も
狡猾なるは
猛狒である。
「むッ……」と十郎太は、
苦鳴をあげて、たおれた。