苦鳴くめい)” の例文
もみ合っているふたりのあいだから、おそろしい苦鳴くめいがあがった。さては、民部が首をかき落とされたか、呂宋兵衛るそんべえ脾腹ひばらをえぐられたか、どッちか一つ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しやく有餘いうよ猛狒ゴリラ苦鳴くめいをあげ、鮮血せんけついて地上ちじやうたをれた。わたくし少年せうねんとはゆめ夢見ゆめみ心地こゝち韋駄天いだてんごとそのかたはらはしつたとき水兵すいへい猛獸まうじうまたがつてとゞめの一刀いつたう海軍士官かいぐんしくわん悠然いうぜんとして此方こなたむかつた。
とら比較的ひかくてきおろか動物どうぶつで、憤然ふんぜんをどらして、鐵車てつしや前方ぜんぽうから飛付とびついたからたまらない、おそ旋廻圓鋸機せんくわいえんきよきのために、四肢しゝや、腹部ふくぶ引裂ひきさかれて、苦鳴くめいをあげて打斃うちたをれた。もつと狡猾こうくわつなるは猛狒ゴリラである。
「むッ……」と十郎太は、苦鳴くめいをあげて、たおれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、別な苦鳴くめいを向うに聞いた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)