膚脱はだぬ)” の例文
これを二碗にわんかたむけた鄰家りんか辻井つじゐさんはむか顱卷はちまき膚脱はだぬぎの元氣げんきつて、「さあ、こい、もう一度いちどゆすつてろ。」とむねたゝいた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白のうろこ膚脱はだぬぎで、あの髪をさっと乱して、ト撞木しゅもくかぶって、供養の鐘を出た時は、何となく舞台が暗くなって、それで振袖の襦袢じゅばんを透いて、お珊さんの真白まっしろな胸が
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
絡繹らくえきとして、花見、遊山に出掛けるのが、この前通りの、優しい大川の小橋を渡って、ぞろぞろと帰って来る、男は膚脱はだぬぎになって、手をぐたりとのめり、女がなまめかしい友染ゆうぜん褄端折つまばしょり
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おそろしいより、ゆめれて、うれしさがさきつた。暫時しばし茫然ばうぜんとしてたが、膚脱はだぬぎにつて大汗おほあせをしつとりいた、手拭てぬぐひむか顱卷はちまきをうんとめて、確乎しつか持直もちなほして、すた/\と歩行出あるきだす。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おそろしいよりも、ゆめれてうれしさがさきつた。暫時しばらく茫然ばうぜんとしてた。が、膚脱はだぬぎにつて冷汗ひやあせをしつとりいた。手拭てぬぐひむか顱卷はちまき、うんとめて確乎しつかり持直もちなほして、すた/\と歩行出あるきだした。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)