たて)” の例文
旧字:
俊成卿女しゅんぜいきょうじょの歌や式子しょくし内親王のお歌。そのほかにも数ある代表的な作者たちの錦繍きんしゅうのようにたてよことの錯雑した作品。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
たて一寸五分ぐらい、高さ三寸程……ちょうど西木家の吐酒石酸の瓶ぐらいの横腹に白いレッテルが貼ってあって、酒石酸と活字が三個右から左に並んでいる。
無系統虎列剌 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
粉をふいたような青砥あおと色の地に、くすんだ千歳茶ちとせちゃの斜山形がたてつれの疵みたいに浮きあがっているの。
猪鹿蝶 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
というのは、武士道からきた道徳と、儒教からきた道徳と、東洋の宗教が教えた輪廻りんね説のあきらめとが、一つのまとめられた思想が、その語りもののたての太い線になっている。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
これら凡百はんぴやくの話題をぬきにして、話好はなしずきの伯母さんは自身四十九年間の一切の記憶の糸をたてに入れる。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
麻を裂き、み、色に染め、たて、機に掛け、これを晒し、これを仕上げそうしてこれを売るまでに、どんなに苦労や技が要るでありましょう。しまかすりも作りました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
金椎キンツイによって、西洋文明のたてを流れているキリストの教えを教えられ、今はまた、ここで自分が絵画とか美術とかいうものに対する知識と理解の、極めて薄いことをさとらせられました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
恋の糸とまことの糸を横縦に梭くぐらせば、手を肩に組み合せて天を仰げるマリヤの姿となる。狂いをたてに怒りをよこに、あられふる木枯こがらしの夜を織り明せば、荒野の中に白きひげ飛ぶリアの面影が出る。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
粉をふいたような青砥あおと色の地に、くすんだ千歳茶ちとせちゃの斜山形がたてつれの疵みたいに浮きあがっているの。
姦(かしまし) (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
丹波布たんばふ二種。原寸大。左方のは木綿。右方のはよこ木綿、たて絹。日本民藝美術館蔵。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)