精通せいつう)” の例文
おひかえなさいとどろき、敵をあなどることはすでに亡兆ぼうちょうでござるぞ。伊那丸は有名なる信玄しんげんの孫、兵法に精通せいつう、つきしたがう傅人もりびともみな稀代きたいの勇士ときく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
マーキュ 昔話むかしばなし猫王チッバルトぢゃとおもうたらあてちがはう。見事みごと武士道ぶしだう式作法しきさはふ精通せいつうあそばしたお達人たつじんさまぢゃ。
しかわたくしうまれた其日そのひより今日迄こんにちまでえず苦痛くつうめてゐるのです、其故それゆゑわたくし自分じぶん貴方あなたよりもたかいもの、萬事ばんじおいて、よりおほ精通せいつうしてゐるものとみとめてるです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
父親が万能ばんのう早解りでありながら、一能に精通せいつうする能力に欠けていたからである。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
高橋その馳走ちそうをうけ、これにて少しはらえたとて去りたりと。この高橋は洋学ようがくにも精通せいつうし、後来こうらい有望ゆうぼうの人なりけるに、不幸ふこうにして世をはやうせり。先生深く惋惜えんせきし、厚く後事こうじめぐまれたりという。
しかしわたくしうまれたそのより今日こんにちまで、えず苦痛くつうめているのです、それゆえわたくし自分じぶん貴方あなたよりもたかいもの、万事ばんじにおいて、よりおお精通せいつうしているものとみとめておるです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
信長はいつのまにか、細川、明智両家の家庭にすっかりくわしくなっていた。縁故のある臣下からいろいろ聞きあつめて耳ぶくろへ入れておくので、誰よりも精通せいつうするはずであった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)