トップ
>
簇々
>
むら/\
ふりがな文庫
“
簇々
(
むら/\
)” の例文
あゝこの平和な村! あゝこの美しい自然! と思ふとすると、今言つた妻君の言葉がゆくりなく
簇々
(
むら/\
)
と自分の胸に思ひ出された。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
西の
渡
(
と
)
の
簇々
(
むら/\
)
とした人家を崖の上に仰いで、船を着けた、満島からこゝまで九里の間を、三時間半。
天竜川
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
簇々
(
むら/\
)
とまろがりゆく霧のまよひに、対岸の断崖は墨のごとく際だち、その上に生ひ茂る木々の緑の
霑
(
うるほ
)
へる色は淀める水の面なづる朝風をこころゆくばかり染めなしたり
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
心
(
こゝろ
)
もとなげな
雲
(
くも
)
が
簇々
(
むら/\
)
と
南
(
みなみ
)
から
駈
(
か
)
け
走
(
はし
)
つて、
其
(
その
)
度
(
たび
)
毎
(
ごと
)
に
驟雨
(
しうう
)
をざあと
斜
(
なゝめ
)
に
注
(
そゝ
)
ぐ。
雨
(
あめ
)
は
畑
(
はた
)
の
乾
(
かわ
)
いた
土
(
つち
)
にまぶれて、
軈
(
やが
)
て
飛沫
(
しぶき
)
を
作物
(
さくもつ
)
の
下葉
(
したば
)
に
蹴
(
け
)
つて、
更
(
さら
)
に
濁水
(
だくすゐ
)
が
白
(
しろ
)
い
泡
(
あわ
)
を
乘
(
の
)
せつゝ
低
(
ひく
)
きを
求
(
もと
)
めて
去
(
さ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と、思ふと、向ふの低い
窪地
(
くぼち
)
に
簇々
(
むら/\
)
と十五六人
許
(
ばかり
)
の人数が
顕
(
あら
)
はれて、其処に辛うじて運んで来たらしいのは昼間見たその新調の喞筒である。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
と再び思つた自分の胸には、何故か形容せられぬ悲しい同情の涙が
鎧
(
よろひ
)
に立つ矢の
蝟毛
(
ゐまう
)
の如く
簇々
(
むら/\
)
と烈しく強く集つて来た。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
其眺矚
(
そのてうしよく
)
や甚だ
廣濶
(
くわうくわつ
)
なるにあらず、否、
此處
(
こゝ
)
よりはその半腹を登り行く
白衣
(
はくい
)
の行者さへ見ゆと言ふなる御嶽の姿も、
今日
(
けふ
)
は麓の深谷より
簇々
(
むら/\
)
と渦上する白雲の爲めに蔽はれて
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
簇
漢検1級
部首:⽵
17画
々
3画
“簇”で始まる語句
簇
簇生
簇出
簇立
簇葉
簇擁
簇然
簇集
簇雲
簇団