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立烏帽子
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たてえぼし
ふりがな文庫
“
立烏帽子
(
たてえぼし
)” の例文
この言葉に平大納言時忠は、緋色の緒のついた袴、
葛糸織
(
くずいとおり
)
の直垂、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
という姿で惟村の前にあらわれると、きつい語調でいった。
現代語訳 平家物語:08 第八巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
脊丈のほども
惟
(
おも
)
わるる、あの
百日紅
(
さるすべり
)
の樹の枝に、
真黒
(
まっくろ
)
な
立烏帽子
(
たてえぼし
)
、
鈍色
(
にぶいろ
)
に黄を交えた
練衣
(
ねりぎぬ
)
に、水色のさしぬきした神官の姿一体。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中には
一夜
(
いちや
)
の中に二人まで、あの御屋形の
梨
(
なし
)
の花の下で、月に笛を吹いている
立烏帽子
(
たてえぼし
)
があったと云う噂も、聞き及んだ事がございました。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
萌黄緞子
(
もえぎどんす
)
の胴
肩衣
(
かたぎぬ
)
をつけ、金の星兜の上を
立烏帽子
(
たてえぼし
)
白妙
(
しろたえ
)
の練絹を以て
行人包
(
ぎょうにんづつみ
)
になし、二尺四寸五分順慶長光の太刀を抜き放ち、
放生
(
ほうしょう
)
月毛と名づくる名馬に跨り
川中島合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「いや、どこやら
艶
(
なまめ
)
かしい
水干衣
(
すいかん
)
立烏帽子
(
たてえぼし
)
という粧い、あるいは、特に
御贔屓
(
ごひいき
)
の白拍子かもしれませぬ」
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
世の常の
立烏帽子
(
たてえぼし
)
の
大兜
(
おおかぶと
)
に、
鎧
(
よろい
)
、陣羽織、題目の旗をさして片鎌鎗という道具立てが無いだけに、故実が一層はっきりして、古色が由緒の正しいことを語り、人相に誇張のないところ
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「———『
風袋
(
かぜぶくろ
)
に、とりばち、
銭叺
(
ぜにがます
)
、小判に、
金箱
(
かねばこ
)
、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
、………』」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
船頭たちがなぜ
素袍
(
すおう
)
を着て、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
を
被
(
かぶ
)
っていないと思うような、尊い川もござりまする、女の
曳
(
ひ
)
きます
俥
(
くるま
)
もござります、ちょうど明日は旧の元日。初日の出
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ある花曇りの日の
昼中
(
ひるなか
)
だったかと存じますが、何か用足しに出ました帰りに、
神泉苑
(
しんせんえん
)
の外を通りかかりますと、あすこの
築土
(
ついじ
)
を前にして、
揉烏帽子
(
もみえぼし
)
やら、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
やら
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天正九年十月、
成願寺
(
せいがんじ
)
の激戦に、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
の前立に、
黒革
(
くろかわ
)
のよろいを朱にさせ、苦戦の味方を
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
花火の相図と共に、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
に緑色の
直垂
(
ひたたれ
)
を着て、太刀を
佩
(
は
)
いた二人の世話係が東から出て来ました。西の方からは紅の直垂を着て、同じく太刀を佩いた二人の世話係が出て来ました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
白拍子というのは、鳥羽天皇の時代に、男装の麗人が、
水干
(
すいかん
)
、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
で舞を舞ったのが始りとされているが、それがいつか、水干だけをつけて踊る舞姫たちを白拍子と呼ぶようになったのである。
現代語訳 平家物語:01 第一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
芳紀
(
とし
)
正に
二八
(
にはち
)
ながら、
男女
(
おとこおんな
)
も
雌雄
(
めお
)
の浪、権兵衛も七蔵も、頼朝も為朝も、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
というものも、そこらの
巌
(
いわお
)
の名と覚えて、崖に生えぬきの色気なし、
形
(
なり
)
にも
態
(
ふり
)
にも構わばこそ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
舞台の人形は、藍色の
素袍
(
すおう
)
に、
立烏帽子
(
たてえぼし
)
をかけた大名である。
野呂松人形
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
烏
漢検準1級
部首:⽕
10画
帽
常用漢字
中学
部首:⼱
12画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画