突除つきの)” の例文
其他そのほか一團いちだん賤劣せんれつなる下等船客かとうせんきやくで、自己おのれ腕力わんりよくまかせて、突除つきの蹴倒けたをして、我先われさきにと艇中ていちう乘移のりうつつたのである。
泥だらけの手足を躍らして小犬のように跳ね上ると、玄関の式台へ泥足のまま駈け上って、栗野博士を突除つきのけながら、澄夫の袴腰はかまごしにシッカリと抱き付いた。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其処そこ多勢おほぜいの義士が誘ひに来て散散さんざんに辱めた上飽迄あくまでも躊躇して居るキニゼイに告別して行つて仕舞しまふと、キニゼイ先生もつひに決心して許嫁いひなづけ突除つきのけ同志のあとを追つてく。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
人殺しと云うは惠梅を殺した事を訴人そにんすると心得ましたから、人を殺し又悪事を重ねてもおのれの罪を隠そうと思う浅ましい心からおやまをっては成らぬと山之助を突除つきのけて土間へ駈下かけお
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其手を取て突除つきのけつゝ見相けんさうかへて忠兵衞さん扨は其朝長庵が傘をもさゝず天神樣の裏門前うらもんまへにてあはれし時口きかれたは確乎たしか證據しようこ夫程證據の有事をなどて今日迄つゝまれしや情なき忠兵衞殿無念々々むねん/\齒噛はがみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
銀平は何思いけん、いきおいに乗る八蔵を取って突除つきのけずいと立ち
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)