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瞳子
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ひとみ
ふりがな文庫
“
瞳子
(
ひとみ
)” の例文
けれどもその一重瞼の中に輝やく
瞳子
(
ひとみ
)
は
漆黒
(
しっこく
)
であった。だから非常によく働らいた。或時は
専横
(
せんおう
)
と云ってもいいくらいに表情を
恣
(
ほしい
)
ままにした。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつしかに
黄昏
(
たそがれ
)
は、花瓶の
面
(
おもて
)
にうつる空の色、二人が
瞳子
(
ひとみ
)
をくもらして、さゝやかの二人が世界の、物の
彩色
(
あいろ
)
を消して
行
(
ゆ
)
く。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
新婦の漆黒なる
瞳子
(
ひとみ
)
は上に向ひて、その波紋をなせる髮は白き肩に亂れ落ち、もろ手は曲線美しき胸の上に組み合されたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
初めて、凝結してゐた
瞳子
(
ひとみ
)
の底から解けて流れてくる樣な涙がみのるの頬にしみ/″\と傳はつてきた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
思いたまえ。産まれん子は君に似て黒き
瞳子
(
ひとみ
)
をや持ちたらん。この瞳子。ああ、夢にのみ見しは君が黒き瞳子なり。産まれたらん日には君が正しき心にて、よもあだし名を
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
『
瞳子
(
ひとみ
)
は
瑠璃
(
るり
)
』と、老の水手
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
瞳子
(
ひとみ
)
彫
(
ゑ
)
られぬ唐獅子は
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし
判然
(
はっきり
)
どこを見ているとも思えなかった。黒い大きな
瞳子
(
ひとみ
)
には生きた光があった。けれども生きた働きが欠けていた。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
薄暗い小屋の中から群集の方へ時々投げる眼に、
瞳子
(
ひとみ
)
の流れるやうなたつぷりした表情が動いてゐた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
黒き
瞳子
(
ひとみ
)
の
※電
(
せんでん
)
の如き少女二人、暫し飛ぶが如くに車の迹を追ひ來りしが、ジエンナロはこれをも美しと
愛
(
め
)
で
稱
(
たゝ
)
へき。されどララの
氣高
(
けだか
)
きには比ぶべうもあらざりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
思ひ玉へ。産れん子は君に似て黒き
瞳子
(
ひとみ
)
をや持ちたらん。この瞳子。嗚呼、夢にのみ見しは君が黒き瞳子なり。産れたらん日には君が正しき心にて、よもあだし名をばなのらせ玉はじ。
舞姫
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
慶三は
矢庭
(
やにわ
)
に掛蒲団を剥ぎのけた後、眼を皿のようにして白い
敷布
(
シイツ
)
の上から何物かを捜し出そうとするらしく
稍
(
やや
)
暫く
瞳子
(
ひとみ
)
を据えた後、
頻
(
しきり
)
に鼻を
摺付
(
すりつ
)
けて物の
臭
(
におい
)
でもかぐような挙動をした。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ふかき
瞳子
(
ひとみ
)
に火ぞ燃ゆる。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
濃青
(
こあを
)
の
瞳子
(
ひとみ
)
、ひたひたの
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
色を売りて、人に
媚
(
こ
)
びるを商売にしている。彼らは
嫖客
(
ひょうかく
)
に対する時、わが容姿のいかに相手の
瞳子
(
ひとみ
)
に映ずるかを
顧慮
(
こりょ
)
するのほか、何らの表情をも
発揮
(
はっき
)
し得ぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
われいと易き程の事なりとて、讀み初めしに、若者の黒き
瞳子
(
ひとみ
)
には、信心の色いと深く映りぬ。暫しありて若者我手を握りて云ふやう。いかなれば汝は復た此山を出でんとするか。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
思ひ玉へ。産れん子は君に似て黒き
瞳子
(
ひとみ
)
をや持ちたらん。この瞳子。嗚呼、夢にのみ見しは君が黒き瞳子なり。産れたらん日には君が正しき心にて、よもあだし名をばなのらせ玉はじ。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
瞳子
(
ひとみ
)
の黒い
瞼毛
(
まつげ
)
の長い眼が晝寢でも爲てゐた樣にぼつとりと腫れてゐた。よく大坂人に見るやうに物を云ふ時その口尻に唾を溜める癖があつた。笑ふと女の樣な愛嬌がその小さな顏いつぱいに溢れた。
木乃伊の口紅
(旧字旧仮名)
/
田村俊子
(著)
愛する人と
瞳子
(
ひとみ
)
を
合
(
あわ
)
すその眼とその眼
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
ぢきたりす
花
(
はな
)
の
瞳子
(
ひとみ
)
は
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
瞳子
(
ひとみ
)
、まなざし。
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
お延の細い眼から
憎悪
(
ぞうお
)
の光が射した。女だと思って馬鹿にするなという
気性
(
きしょう
)
がありありと
瞳子
(
ひとみ
)
の
裏
(
うち
)
に宿った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
瞳子
(
ひとみ
)
凝らしし少女子が
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その眼つきは、いつでも庭の植込を見ているが、
彼
(
か
)
れはおそらく木の葉も、幹の形も意識していなかったのだろう。青味がかった黄色い
瞳子
(
ひとみ
)
を、ぼんやり
一
(
ひ
)
と
所
(
ところ
)
に落ちつけているのみである。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
濃青
(
こあを
)
の
瞳子
(
ひとみ
)
ひたひたの
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
“瞳子”の意味
《名詞》
瞳。瞳孔。
(出典:Wiktionary)
瞳
常用漢字
中学
部首:⽬
17画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“瞳”で始まる語句
瞳
瞳孔
瞳光
瞳裏
瞳々
瞳付
瞳穴
瞳色
瞳黒