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睛
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ひとみ
ふりがな文庫
“
睛
(
ひとみ
)” の例文
首を
捻
(
ひね
)
った、「つまりもっとも肝心なもの、竜の眼、要するに点ずべき
睛
(
ひとみ
)
といったふうなものが、この辺になくてはならないと思う」
扇野
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
聞くだけでもう魂がかきむしられる思いのするその地獄のような
風音
(
かざおと
)
こそ、あたり一帯のむざんな光景に
睛
(
ひとみ
)
を点ずるものなのだが、その音のなかからは
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
折々雲裂け
天
(
そら
)
破れて
紫色
(
むらさき
)
の光まばゆく輝きわたる
電魂
(
いなだま
)
の虚空に跳り閃く勢い、見る眼の
睛
(
ひとみ
)
をも焼かんとす。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
方棟は不思議な車もあったものだと思いながら家へ帰ってきたが、どうも目のぐあいが悪いので、人に瞼をあけて見てもらうと、
睛
(
ひとみ
)
の上に小さな
翳
(
くもり
)
が出来ていた。
瞳人語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
皆顔は
漆
(
うるし
)
のように黒くて、その
睛
(
ひとみ
)
は
榴
(
ざくろ
)
よりも大きかった。怪しい者は叟を
攫
(
つか
)
んでいこうとした。汪は力を出して奪いかえした。怪しい者は舟をゆりだしたので
纜
(
ともづな
)
が切れてしまった。
汪士秀
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
小野さんは自分の手元から半切れを伝わって机掛の白く染め抜かれているあたりまで順々に見下して行く。見下した眼の行き
留
(
どま
)
った時、やむを得ず、
睛
(
ひとみ
)
を転じてロゼッチの詩集を
眺
(
なが
)
めた。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いまだ
噉
(
く
)
うを得ず、奴戸に当り
倚
(
よ
)
って弓を張り
箭
(
や
)
を挟み刀を抜く、然、盤中の肉飯を以て狗に与うるに狗噉わず、ただ
睛
(
ひとみ
)
を注ぎ唇を
舐
(
ねぶ
)
り奴を
視
(
み
)
る、然、またこれを覚る、奴食を催す
転
(
うた
)
た急なり、然
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
画竜の
睛
(
ひとみ
)
の一点を見出しましょう。そうすれば
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
梅花の
匂
(
におい
)
ぷんとしたに
振向
(
ふりむけ
)
ば柳のとりなり玉の顔、さても美人と感心した所では
西行
(
さいぎょう
)
も
凡夫
(
ぼんぷ
)
も
変
(
かわり
)
はなけれど、
白痴
(
こけ
)
は其女の影を自分の
睛
(
ひとみ
)
の底に
仕舞込
(
しまいこん
)
で忘れず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
鴞
(
ふくろう
)
に
翼
(
はね
)
が生えて、
母鳥
(
おやどり
)
の
睛
(
ひとみ
)
をつッつくのとおんなじようなことをしようというのですか
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
留
(
とど
)
められたる
袖
(
そで
)
思い
切
(
きっ
)
て振払いしならばかくまでの切なる
苦
(
くるしみ
)
とはなるまじき者をと、恋しを恨む恋の愚痴、
吾
(
われ
)
から吾を
弁
(
わきま
)
え難く、
恍惚
(
うっとり
)
とする所へ
著
(
あらわ
)
るゝお辰の姿、
眉付
(
まゆつき
)
媚
(
なまめ
)
かしく
生々
(
いきいき
)
として
睛
(
ひとみ
)
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
睛
漢検1級
部首:⽬
13画
“睛”を含む語句
眼睛
画竜点睛
画龍点睛
点睛
白睛
一睛
守睛
猫睛石
睛眼
頂𩕳眼睛