真新まあたら)” の例文
旧字:眞新
リュック・サックを負うたものもあり、入塾のためにわざわざ買い求めたとしか思えないような真新まあたらしいかわのトランクをぶらさげているものもあった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
帰って見ると、郵便箱には郵便物の外、色々な名刺や鉛筆書きが入れてあったり、主人しゅじん穿きふるした薩摩下駄を物数寄ものずきにまだ真新まあたらしいのに穿きかえてく人なぞもあった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ちょうどきりのかかったみなとあつまったふねともしびのように、もしくは、地平線ちへいせんちかそらにまかれたぬかぼしのように、あおいろのもあれば、あかいろのもあり、なかには真新まあたらしい緑色みどりいろのもありました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふすま開放あけはなしたちやから、其先そのさきの四畳半でうはん壁際かべぎは真新まあたらしい総桐さうぎり箪笥たんすが一さをえる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
なぜなら、あのこっとうてんが、いつのまにかなくなって、つからなかったからです。そのかわり、そこが葬儀屋そうぎやとなって、真新まあたらしいかんおけやしろ蓮華れんげ造花ぞうかなどが、ならべてありました。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
栗梅色くりうめいろった真新まあたらしい箱馬車式はこばしゃしきの立派なものだ。米国から一昨日着いたばかり、全速ぜんそく五十まいる、六千円出たそうだ。父、母、姉、妻、女は硝子戸がらすどの内に、余は運転手うんてんしゅと並んで運転手台に腰かけた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
胸に真新まあたらしい在郷軍人徽章きしょうをつるして、澄ましかえって歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)