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爪皮
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つまかは
と
呼んで、ト
引返した、
鳥打を
被つた
男は、
高足駄で、
杖を
支いた
妙な
誂へ。
路は
恁う
乾いたのに、
其の
爪皮の
泥でも
知れる、
雨あがりの
朝早く
泥濘の
中を
出て
來たらしい。
然も
其の
日は、
午前の
中、
爪皮の
高足駄、
外套、
雫の
垂る
蛇目傘、
聞くも
濡々としたありさまで、(まだ四十には
間があるのに、
壮くして
世を
辞した)
香川と
云ふ
或素封家の
婿であつた
と
私がいふと、
同伴は
蝙蝠傘のさきで
爪皮を
突きながら