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無人
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むにん
ふりがな文庫
“
無人
(
むにん
)” の例文
そうして黄色い声や青い声が、梁を
纏
(
まと
)
う
唐草
(
からくさ
)
のように、
縺
(
もつ
)
れ合って、天井から
降
(
ふ
)
ってくる。高柳君は
無人
(
むにん
)
の
境
(
きょう
)
に一人坊っちで
佇
(
たたず
)
んでいる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
成経
蘇武
(
そぶ
)
は
胡国
(
ここく
)
との戦争に負けて、
異域
(
いいき
)
の
無人
(
むにん
)
の山に
飢
(
う
)
えた
獣
(
けもの
)
のようになって、十五年間もさまよい暮らしました。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
また全館のうち、帳場なり、
客室
(
きゃくま
)
なり、湯殿なり、このくらい、
辞儀
(
じぎ
)
、
斟酌
(
しんしゃく
)
のいらない、
無人
(
むにん
)
の
境
(
きょう
)
はないでしょう。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奧
(
おく
)
の一間へ呼入れ
時候
(
じこう
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
終
(
をは
)
り扨云やう今日其方を
招
(
まねき
)
しは別儀にも非ず此兩三年はお
屋敷
(
やしき
)
の御用も殊の外
鬧敷
(
いそがしく
)
相成ど店の者
無人
(
むにん
)
にて何時も御用の間を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
無人
(
むにん
)
の留守宅を助三郎は兄の栄太に頼んだのかも知れない。が、
平常
(
ふだん
)
から兄弟仲の余りよくなかったと言う人々のひそひそ話を勘次はそれとなく小耳に挾んだ。
釘抜藤吉捕物覚書:01 のの字の刀痕
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
またこれを下山せしめんことは無論当人の本意に非ざるべしなど、これを患者に語ることの、
病
(
やまい
)
に
障
(
さわ
)
りあらんを思い、
独
(
ひと
)
り自ら憂慮に沈みたりしが、もとこれ
無人
(
むにん
)
の境
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
人々は彼と朝日照り
炊煙
(
すいえん
)
棚引
(
たなび
)
き親子あり夫婦あり
兄弟
(
きょうだい
)
あり
朋友
(
ほうゆう
)
あり涙ある世界に同居せりと思える
間
(
ま
)
、彼はいつしか
無人
(
むにん
)
の島にその淋しき巣を移しここにその心を葬りたり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
無人
(
むにん
)
の白い塔を押し流す
寒流
(
かんりう
)
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
そこへ
騾馬
(
らば
)
を六頭も着けた荷車がくるのだから、牛を駆るようにのろく歩いたって危ない。それだのに
無人
(
むにん
)
の
境
(
さかい
)
を行くがごとくに飛ばして見せる。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無人
(
むにん
)
の境だと聞いただけに、蛇類のおそれ、雑草が伸茂って、道を
蔽
(
おお
)
うていそうだったのが、敷石が一筋、すっと正面の階段まで、
常磐樹
(
ときわぎ
)
の落葉さえ、五枚六枚数うるばかり
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分はこう云う状態で、
無人
(
むにん
)
の
境
(
さかい
)
を行くような心持で、親方の
家
(
うち
)
までやって来た。案内を頼むと、うちから十五六の娘が、がらりと
障子
(
しょうじ
)
をあけて出た。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
二人は
煢々
(
けいけい
)
として
無人
(
むにん
)
の
境
(
きょう
)
を行く。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“無人”で始まる語句
無人島
無人境
無人相
無人処
無人殿
無人生
無人郷
無人地方
無人境説
無人芝居