渋茶しぶちゃ)” の例文
旧字:澁茶
ボーイが一隅のテーブルの上に、ドアの鍵と渋茶しぶちゃとを置いて、黙って出て行った時、私達は突然非常な驚きの目を見交わした。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
? 茶釜ちゃがまでなく、這般この文福和尚ぶんぶくおしょう渋茶しぶちゃにあらぬ振舞ふるまい三十棒さんじゅうぼう、思わずしりえ瞠若どうじゃくとして、……ただ苦笑くしょうするある而已のみ……
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其処で編笠を借りて冠って、厄介な荷物は預けて、吉原へ繰り込むのですが、渋茶しぶちゃ一碗の設備もあり、店には美しい娘などを置いて、客を呼ぶにおろそかはありません。
渋茶しぶちゃあじはどうであろうと、おせんが愛想あいそうえくぼおがんで、桜貝さくらがいをちりばめたような白魚しらうおから、おちゃぷくされれば、ぞっと色気いろけにしみて、かえりの茶代ちゃだいばいになろうという。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
囲炉裏側いろりばたに腰かけて渋茶しぶちゃ馳走ちそうになって居ると、天幕から迎いの人夫が来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
御堂おどうは申すまでもありません、下の仮庵室かりあんじつなども至極しごくそのすずしいので、ほんの草葺くさぶきでありますが、と御帰りがけにお立寄たちより、御休息なさいまし。木葉きのはくすべて渋茶しぶちゃでも献じましょう。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)