きゆ)” の例文
二月にいたりても野山一面の雪の中に、清水ながれは水気すゐきあたゝかなるゆゑ雪のすこしきゆる処もあり、これ水鳥のをりる処也。
自己を下賤醜悪にしてまで存在を続けて行く必要が何処にあろう。いさぎよく落花の雪となってきゆるにくはない。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
振つて追立るなれば其の危うさは目もくるめき心もきゆるばかりなりあはれかゝ景色けいしよく再びとは來られねば心のどかに杖を立て飽までに眺めんと思ふに其甲斐なし命一ツ全きを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
永久とこしへ藝術たくみ」、「詩人の光榮さかえ」など云ふ文字が堪へられぬ程血を熱せしめたのに引換へて、今は、「思ひ出」、「きゆる夢」、「殘る薫り」、と云つたやうな文字が
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
みち階級だん/\ある所にいたれば主人もわらぐつにはきかふる、此げたわらぐつは礼者にかぎらず人々皆しかり。雪まつたきゆる夏のはじめにいたらざれば、草履ざうりをはく事ならず。
みち階級だん/\ある所にいたれば主人もわらぐつにはきかふる、此げたわらぐつは礼者にかぎらず人々皆しかり。雪まつたきゆる夏のはじめにいたらざれば、草履ざうりをはく事ならず。
されば賢人はほのおの燃え輝ききゆるがごとくに
上より自在じざいをさげ、此火に酒のかんをなしあるひはちやせんじ、夜は燈火ともしびとす。さてつら/\此火を視るに、つゝをはなるゝこと一寸ばかりの上にもゆる、扇にあふげば陽火やうくわのごとくにきゆる。
上より自在じざいをさげ、此火に酒のかんをなしあるひはちやせんじ、夜は燈火ともしびとす。さてつら/\此火を視るに、つゝをはなるゝこと一寸ばかりの上にもゆる、扇にあふげば陽火やうくわのごとくにきゆる。
春のなかばにいたれば小雨ふる日あり、此時にいたれば晴天はもとより、雨にも風にも去年より積雪つもりたるゆきしだい/\にきゆるなり。されども家居いへゐなどはいぬゐに(北東の間)あたる方はきゆる事おそし。