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汎濫
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はんらん
ふりがな文庫
“
汎濫
(
はんらん
)” の例文
クリストフはそれらの詩の
汎濫
(
はんらん
)
中に迷い込みおぼれ沈んでしまって、散文の方に移っていった。そこには次のような人たちがいた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
群衆はあのときから絶えず地上に
汎濫
(
はんらん
)
しているようだ。僕は
雑沓
(
ざっとう
)
のなかをふらふら歩いて行く。僕はふらふら歩き廻っている。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
〔譯〕
心理
(
しんり
)
は是れ
豎
(
たて
)
の工夫なり、
愽覽
(
はくらん
)
は是れ
横
(
よこ
)
の工夫なり。
豎
(
たて
)
の工夫は、則ち
深入
(
しんにふ
)
自得
(
じとく
)
せよ。
横
(
よこ
)
の工夫は、則ち
淺易
(
せんい
)
汎濫
(
はんらん
)
なれ。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
あるいは門前の川が
汎濫
(
はんらん
)
して道路を浸している時に、ひざまでも没する水の中をわたり歩いていると、水の冷たさが
腿
(
もも
)
から腹にしみ渡って来る
笑い
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
利根川
(
とねがは
)
の
流
(
ながれ
)
が
汎濫
(
はんらん
)
して、
田
(
た
)
に、
畠
(
はたけ
)
に、
村里
(
むらざと
)
に、
其
(
そ
)
の
水
(
みづ
)
が
引殘
(
ひきのこ
)
つて、
月
(
つき
)
を
經
(
へ
)
、
年
(
とし
)
を
過
(
す
)
ぎても
涸
(
か
)
れないで、
其
(
そ
)
のまゝ
溜水
(
たまりみづ
)
に
成
(
な
)
つたのがあります。……
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
海なる嬰児が母の胎内より湧き出でて、
浩々蕩々
(
こうこうとうとう
)
まさに全地を
蔽
(
おお
)
わんとした時、戸を以てこれを閉じて
汎濫
(
はんらん
)
を防ぎしは誰であるかと八節は問う。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
これは荒川の河流が放水路の開通と共に、如何に険悪な天候にも決して
汎濫
(
はんらん
)
する恐れがなくなったためかとも思われる。
水のながれ
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
などと考えながら思わず胸をついて出る吐息とともに空を眺めやると、小さな鉄格子の窓に限られたはるかな空は依然白い
焔
(
ほのお
)
のような日光に
汎濫
(
はんらん
)
して
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
即ち、戦争の終ると共に欧米文化は日本に
汎濫
(
はんらん
)
し日本文化は
忽
(
たちま
)
ち場末へ追いやられる。芸人にカタギがなくては浮かぶ瀬がない。芸の魂は代用品では間に合わぬ。
芸道地に堕つ
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
その
夜
(
よ
)
遅くから大雨になって風がそれに添うて来た。雨と風は次第に強くなるばかりであった。
高岡町
(
たかおかまち
)
の
傍
(
そば
)
を流れている
仁淀川
(
によどがわ
)
は、
忽
(
たちま
)
ち
汎濫
(
はんらん
)
して両岸の堤防が危険になって来た。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
舞台で女の裸体を見せるようになった事をわたくしが初めて人から聞伝えたのは、一昨年(昭和廿二年)の秋頃、利根川
汎濫
(
はんらん
)
の噂のあった頃である。
裸体談義
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それはちょうど大河の堤を切り放したように、生命への欲望が一度に
汎濫
(
はんらん
)
した。と思うと大きな恐ろしいうなり声のようなものが聞こえて目をさました。
Liber Studiorum
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
人間のなかにある不可知の装置。人間の核心。人間の観念。観念の人間。洪水のように
汎濫
(
はんらん
)
する言葉と人間。群衆のように
雑沓
(
ざっとう
)
する言葉と人間。言葉。言葉。言葉。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
すべてそれらの、空粗な愛情、空粗な情緒、空粗な憂愁、空粗な詩、などの
汎濫
(
はんらん
)
……。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかして現在
洪水
(
こうずい
)
のごとく物理学の領土を
汎濫
(
はんらん
)
しつつある素量の観念の黙示のごとくにも響くのではあるまいか。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
最初
河水
(
かすい
)
の
汎濫
(
はんらん
)
を防ぐために築いた向島の土手に、
桜花
(
おうか
)
の装飾を施す事を忘れなかった江戸人の度量は、都会を電信柱の大森林たらしめた明治人の経営に比して何たる相違であろう。
夏の町
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
恐るべきゲルマン多感性の水門が、切って放たれていた。その多感性は強者の元気を希薄にし、弱者を灰色の水の下におぼらしていた。一つの
汎濫
(
はんらん
)
であった。ドイツの思想がその底に眠っていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この分にてもう二、三日晴れやらずば
諸河
(
しょか
)
汎濫
(
はんらん
)
鉄道不通米価いよいよ
騰貴
(
とうき
)
致
(
いたす
)
べしと存候。さて突然ながらかのお半事このほどいささか気に入らぬ仕儀
有之
(
これあり
)
彩牋堂より元の古巣へ引取らせ申候。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“汎濫”の意味
《名詞》
氾濫すること。
大雑把で曖昧なさま。
(出典:Wiktionary)
汎
常用漢字
中学
部首:⽔
6画
濫
常用漢字
中学
部首:⽔
18画
“汎濫”で始まる語句
汎濫博文