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水気
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すいき
ふりがな文庫
“
水気
(
すいき
)” の例文
旧字:
水氣
破れ畳の上から、往来の砂の中へ、斜めにのばした二の腕には、
水気
(
すいき
)
を持った、土け色の皮膚に、鋭い齒の跡が
三
(
み
)
つ
四
(
よ
)
つ、紫がかって残っている。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と、前後の
対手
(
あいて
)
へ
二息
(
ふたいき
)
かけると、たちまち、かれのすがたは一
条
(
じょう
)
の
水気
(
すいき
)
となって、あるがごとくなきがごとく乱打の武器もむなしく風を斬るばかり。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
林はまだ夏の緑のそのままでありながら空模様が夏とまったく変わってきて
雨雲
(
あまぐも
)
の南風につれて武蔵野の空低くしきりに雨を送るその晴間には日の光
水気
(
すいき
)
を
武蔵野
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
霧とも云えないはどの微細な
水気
(
すいき
)
が、薄くたなびいていて、それがあらゆるものに仄白い衣をきせています。
白い朝:――「正夫の童話」――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
根の方で
水気
(
すいき
)
を吸い揚げ、漸々手足へ登るように枝葉の繁りまするので、人間も口で物を喰い、胃でこなし、滋養分は血液に化して手足へ循環致すと同じことで
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
鶫
(
つぐみ
)
の群れが、
牧場
(
まきば
)
から
還
(
かえ
)
りに、
柏
(
かしわ
)
の
木立
(
こだち
)
の中で、ぱっとはじけるように散ると、彼は、眼を慣らすために、それを狙ってみる。銃身が
水気
(
すいき
)
で曇ると、袖でこする。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
人の気配もせぬので、のぞいて見ると
隅
(
すみ
)
っこの青く
透
(
す
)
いたサイダー瓶の棚の前に、
鱗光
(
りんこう
)
の
河魚
(
かわうお
)
の精のような
爺
(
おやじ
)
が一人、しょぼんと坐っていた。ぼうと立つのは
水気
(
すいき
)
である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
手を
浄
(
きよ
)
めに前夜雨戸をあくれば、
鍼先
(
はりさき
)
を吹っかくる様な
水気
(
すいき
)
が面を
撲
(
う
)
って、
遽
(
あわ
)
てゝもぐり込む蒲団の中でも足の先が
縮
(
ちぢ
)
こまる程いやに
冷
(
つめ
)
たい、と思うと明くる朝は武蔵野一面の霜だ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と見れば常さえ
艶
(
つや
)
やかな緑の黒髪は、
水気
(
すいき
)
を含んで
天鵞絨
(
びろうど
)
をも欺むくばかり、玉と透徹る
肌
(
はだえ
)
は塩引の色を帯びて、眼元にはホンノリと
紅
(
こう
)
を
潮
(
ちょう
)
した
塩梅
(
あんばい
)
、何処やらが
悪戯
(
いたずら
)
らしく見えるが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
コメカミのあたりから
水気
(
すいき
)
が…………ヒッソリとしたたる。
月蝕
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
まるで
水気
(
すいき
)
になやんでいる六角時計のようなものだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その母親は、
水気
(
すいき
)
で
膨
(
ふく
)
らんだ財布が、ゆさゆさ揺れる。それが邪魔なので、子供を頭ではね飛ばす。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
そこで床の中でまじまじしていると、ふと鼻がいつになく、むず
痒
(
かゆ
)
いのに気がついた。手をあてて見ると少し
水気
(
すいき
)
が来たようにむくんでいる。どうやらそこだけ、熱さえもあるらしい。
鼻
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
著しく
水気
(
すいき
)
を含んだ北風が、ぱっ/\と顔を
撲
(
う
)
って来た。やがて粒だった雨になる。
雷
(
らい
)
も頭上近くなった。
雲見
(
くもみ
)
の
一群
(
ひとむれ
)
は、急いで家に入った。
母屋
(
おもや
)
の南面の雨戸だけ残して、悉く戸をしめた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
長く立っているか腰掛けているかしたら足に
水気
(
すいき
)
がきて脹れそうな、そういう締りのたりないところがあり、そのくせ頬の肉附にちょっと
険
(
けん
)
があり、その代り眉に柔かな円みがあって眼が細かった。
南さんの恋人:――「小悪魔の記録」――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その水とも霧ともつかない
水気
(
すいき
)
が、室の中まで押しこんできます。
白い朝:――「正夫の童話」――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それに
水気
(
すいき
)
が少しあるようですから。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
“水気”の意味
《名詞》
湿り気。
水煙。水蒸気。
水腫。
(出典:Wiktionary)
水
常用漢字
小1
部首:⽔
4画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“水気”で始まる語句
水気魚陰