此中このうち)” の例文
此中このうちで酒井大和守忠嗣やまとのかみたゞつぐ預替あづけがへになつてゐた平山は、番人の便所に立つた留守に詰所つめしよの棚の刀箱かたなばこから脇差を取り出して自殺した。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
呼ぶスハヤ尤物いうぶつ此中このうちに在るぞと三人鵜の目鷹の目見つけなば其所そこらんとする樣子なり我は元より冷然として先に進み道のかたへのすみれふきたう蒲公英たんぽゝ茅花つばななどこゝのこんの春あるを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
だい五の怪動物くわいどうぶつは、人間にんげん想像さうざう捏造ねつざうしたもので、日本にほんぬえ希臘ぎりしやのキミーラおよびグリフインとうこれぞくする。りう麒麟等きりんとう此中このなかるものとおもふ。天狗てんぐ印度いんどではとりとしてあるから、矢張やはり此中このうちる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
此中このうち來賓中らいひんちゅうのチッバルトこのこゑ聞咎きゝとがめたる思入おもひいれにてまへすゝむ。
侍童こわらは入る。此中このうちにパリスうてたふるゝ。