梶原かじわら)” の例文
梶原かじわら申しけるは、一歳ひととせ百日ひゃくにちひでりそうらひけるに、賀茂川かもがわ桂川かつらがわ水瀬みなせ切れて流れず、筒井つついの水も絶えて、国土こくどの悩みにて候ひけるに、——
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
北条や梶原かじわらのおべッか者や、またその権力にじ怖れている小心者の大名輩だいみょうばらに、どうして、これがいえるか。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早速に梶原かじわらをとり殺し、大義の本意を達すべきに、さようのことなきは、はなはだ怪しむべきことなり。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
ついで実朝の家督相続となった一方、梶原かじわら一族がほろび、比企判官ひきはんがん一家が滅び、仁田四郎にたんのしろうが殺されると云う陰惨な事件が続いて、右大将家の覇業はぎょうも傾きかけたのを見ると
頼朝の最後 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
何か地面訴訟あらそいがあって、双方お上へバンショウ(訴訟の意)した際、絵馬屋は旧家のこと故、古証文を取り出し、これは梶原かじわらの絵馬の註文書でござりますと差し出した処
もっとも僕と最初から理想を一にしている友人、今は矢張やっぱり僕と同じ会社へ出ているがね、それと二人で開墾事業に取掛ったのだ、そら、竹内君知っておるだろう梶原かじわら信太郎のことサ……
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ってのとおりこの狂言きょうげんは、三五ろうさんの頼朝よりともに、羽左衛門うざえもんさんの梶原かじわら、それに太夫たゆう鷺娘さぎむすめるという、豊前ぶぜんさんの浄瑠璃じょうるりとしっくりった、今度こんど芝居しばいものだろうじゃねえか。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「そうおちゃっぴいばかり出来たって、梶原かじわらがいなけりゃお芝居にならねえ」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その上、土肥どひ梶原かじわらなどを先陣に、既に討手さえ差し向ける気配であった。
われら二人抜けけてこの濁流にこまをすすめ、かの宇治川うじがわ先陣、佐々木と梶原かじわらごとく、相競って共に向う岸に渡って見せたら、臆病おくびょうの式部はじめ供の者たちも仕方なく後からついて来るだろう。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
鎌倉山の大小名、和田北条ほうじょうをはじめとして、佐々木、梶原かじわら、千葉、三浦、当時一﨟いちろう別当の工藤などへは二三度へえり、まぶな時にゃあ千と二千、少ねえ時でも百や二百、仕事をしねえ事あなかった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)