がき)” の例文
ころがきのやうなかみつたしもげた女中ぢよちうが、雜炊ざふすゐでもするのでせう——土間どま大釜おほがましたいてました。番頭ばんとう帳場ちやうばあをかほをしてました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お兼 (戸棚とだなからさらがきを入れて持ちきたる)さあ、これをおあがり。秋にかあさんが干しておいたのだよ。私はちょっとお台所を見て来るからね。(裏口から退場)
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
廊の隅々には、打ち重なったまま、がきみたいな臭気を抱いて寝くたれている兵が見える。——俊基は足を忍ばせて、室へもどり、消えかけているしょくの灯を掻き立てた。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手先のきく清助は半蔵よりずっと器用に、冬菜ふゆな鶯菜うぐいすな牛蒡ごぼう人参にんじんなどの野菜を色どりよく取り合わせ、干しがきの類をも添え、台の上に載せて、その床の間を楽しくした。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あおあおいしぶがきばかりがのこっていました。
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
御丁寧にお心づけを下すったものでございますからてまい……ちょいと御挨拶に出ました時、こういうおたずねでございます——お社へお供物くもつにきざがき楊枝ようじとを買いました
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)