木箱きばこ)” の例文
若者わかものは、きんや、ぎんに、象眼ぞうがんをするじゅつや、また陶器とうきや、いろいろな木箱きばこに、樹木じゅもくや、人間にんげん姿すがたけるじゅつならいました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
やがて所長さんは建物の中に入って、ぼくを木箱きばこの中にぽとんと入れた。その箱には「屑金くずがね入れ」と札がかかっていた。
もくねじ (新字新仮名) / 海野十三(著)
店員はそれをきくと、店のほうへもどっていきましたが、まもなく、ドカドカと足音がして、二メートルもある長方形の木箱きばこを、ふたりの運送屋の男が、はこびこんできました。
超人ニコラ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
金博士は悠揚迫ゆうようせまらず、更に奥の部屋に案内する。そこは倉庫のようなところだった。博士の立停って指すところに、一つの木箱きばこがあった。箱の大きさは二メートル立方。
すみずみに、木箱きばこだとか、いすやテーブルのこわれたのなどが、つみあげてあります。
奇面城の秘密 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
助手じょしゅ小田おださんが、かがみあたらしい木箱きばこにおさめて、北国ほっこく旅立たびだったのは、なつもなかばすぎたのことで、烏帽子岳えぼしだけのいただきから、奇怪きかい姿すがたをした入道雲にゅうどうぐもが、平野へいやおろしながら、うみほうへと
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はば七寸の、細長い木箱きばこに収められた大きなスウィッチで、硝子ガラス蓋を開くと、大理石だいりせき底盤ていばんの上に幅の広いどうリボンでできた電気断続用だんぞくようがテカテカ光り、エボナイト製の
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
辻永は大きな木箱きばこの山の側に立って、鼻を打ちつけんばかりに眼をすり寄せている。早くも彼氏、何物かをつかんだ様子だ。小説家と違って本当の探偵だけに、いつでも掴むのがうまい。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)