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朦朧
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まうろう
今夜は満願とてかの橋にもいたり
殊更につとめて
回向をなし鉦うちならして
念仏しけるに、
皎々たる月
遽然に
曇りて
朦朧たり。
燈も
夢を
照らすやうな、
朦朧とした、
車室の
床に、
其の
赤く
立ち、
颯と
青く
伏つて、
湯気をふいて、ひら/\と
燃えるのを
凝然と
視て
居ると、
何うも
雨戸を少しあけて見たら、月は生憎雲をかぶつて、
朦朧とした谷底を石狩川が唯
颯、
颯と鳴つて居る。
兎は
躍つて、
仰向けざまに
身を
飜し、
妖気を
籠めて
朦朧とした
月あかりに、
前足の
間に
膚が
挟つたと
思ふと、
衣を
脱して
掻取りながら
下腹を
衝と
潜つて
横に
抜けて
出た。