昨晩さくばん)” の例文
くところによりますと、こんどわたしたちがはないになったについて、ねずみどもがたいそうこまって、昨晩さくばんてら和尚おしょうさんのところへ行って
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「だってさっき前を通ったら、御隣にはどなたもいらっしゃらなかったわよ。」「ええ、昨晩さくばん急にまた、三階へ御部屋が変りましたから、——」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
『然うだとさ、何の用か知らないが……町へ出さへすれや何日いつでも昨晩さくばんの様に酔つぱらつて来るんだよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
えらう早くたな、まだ薄暗うすぐらいのに。金「エヘヽヽ昨晩さくばんおほきにおやかましうございます。坊「ウム値切ねぎつた人か、サ此方こつち這入はいんなさい。金「へい、有難ありがたう。坊「穏坊をんばう/\、見てげろ。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
なせしに客人たち昨晩さくばんとんだ事で貴方あなたさぞかし御ねむかりしならん道中にて知ぬつれ油斷ゆだんは成ませぬと云に半四郎いな皆樣もさぞかし迷惑偖々不屆のやつもある者でござるとはなしの折から下女はぜん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あの方は昨晩さくばん私が廣間であなたと御一緒にゐるのを見て吃驚りなすつたのです。今度私があの方に會ふ前に、何か辯解しておいて下さいましね。私、あんないゝ方に誤解されるのはつらいのですもの。
「ございますよ。何でも今月の末までには、また磐梯山ばんだいさんが破裂するそうで、——昨晩さくばんもその御相談に、神々が上野うえのへ御集りになったようでございました。」
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
賣拂うりはらはんとのお使御道理ごもつともにて候然るに幸ひ昨晩さくばんほかより融通ゆうづう致したる金子是あるにより右の品々受出うけいだし候間御面倒ごめんだうながら御取出し元利共ぐわんりとも何程なにほどに相成候や勘定して下されと云ひければ番頭久兵衞は大いに驚き心のうちに思ふ樣此品々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)