早春そうしゅん)” の例文
あちらにえるたか煙突えんとつは、まちのお湯屋ゆやか、それとも工場こうじょう煙突えんとつらしく、くろけむり早春そうしゅん乳色ちちいろそらへ、へびのようにうねりながらがっていました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
地中はまだ暖く、早春そうしゅんぐらいの気候だそうで、そこには空気もあり、また水もあるのだという。その月の生物も人間と別に大した変りはないが、まだ智恵はあまり発達していないという。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まだ、さむい、早春そうしゅん黄昏方たそがれがたでありました。往来おうらいうえでは、子供こどもらが、おにごっこをしてあそんでいました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある早春そうしゅんのこと、あたりのいい、てら門前もんぜんで、みせをひらいて、草花くさばなや、なえっているおとこがありました。これを勇吉ゆうきちは、やまゆりのを二つってかえりました。
雲のわくころ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある早春そうしゅんの、黄昏たそがれのことでありました。一人ひとり旅人たびびとは、みちいそいでいました。このあたりは、はじめてとみえて、みぎたり、ひだりたりして、自分じぶんのゆくむらさがしていたのであります。
島の暮れ方の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)