早打はやうち)” の例文
『今、ちらと、町家ちょうかの者の声を聞けば——今度は浅野の家来だと云ったが——今度はと云えば、吾々の先にも、早打はやうちが通ったのか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見合せ伺ひ申べしとのことにてまづ夫迄それまでは大坂の早打はやうち留置とめおけとの趣きなり近江守は甚だ迷惑めいわくの儀なれども御重役ごぢうやくの申付是非ぜひなく御機嫌のよろしき時節を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
上邸から早打はやうちが福岡へ立つた。それが著くと、福岡城では留守の家老、物頭ものがしら、諸侍が集まつて評議をした。評議が濟むと、組頭はそれ/″\部下に云ひ渡した。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
菊花壇きくかだん菊先乱発きくさきらんぱつ、二尺玉、三尺玉、大菊花壇、二百発三百発の早打はやうち、電光万雷、銀錦変花ぎんにしきへんか菊先錦群蝶きくさきにしきぐんちょう、青光残月、等等等。燦爛さんらんたる孔雀玉の紫と瑠璃るりと、翡翠ひすいと、青緑せいりょく
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
彼は仕様事しようことなしに、又沖に眼をやると、恰度今、早打はやうちがはじまったところで
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
急遽きゅうきょ、従兄弟の光春へあてて早打はやうちした書面は、本来、遅くも十三日の朝には着いてよいはずだが、途中の聯絡れんらくが困難なために、これが光春の手にとどいたのは
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もつて榊原殿へたつせよと早打はやうち直使つかひを立られ榊原家の老臣らうしん伊奈兵右衞門へ御用状ごようじやうをぞ渡しける御用状ようじやうおもむ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
待居たり或日將軍家には御庭おんにはへ成せられ何氣なにげなく植木うゑきなど御覽遊ごらんあそばし御機嫌ごきげんうるはしく見ゆれば近江守は御小姓衆おこしやうしう目配めくばせし其座を退しりぞけ獨り御側おんそば進寄すゝみより聲をひそめて大坂より早打はやうちの次第を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「よ、ようございます——、あなたがおひまをくれないなら、私は私の勝手に大阪へ行きますから。立慶河岸のおっかさんが、危篤だという早打はやうちがきているのに、帰らずにはおられませんからね……」
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ム、一角の早打はやうちか。近頃は頻繁ひんぱんに様子を知らせてまいるな」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月をこえるとすぐ、横山から早打はやうち
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おや。お早打はやうちが」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)