しか)” の例文
しか各々おの/\臥所ふしどに入たりけるさて翌日よくじつにも成ければ武藏屋長兵衞并に長八は後藤先生へ尋ね行んと思ひ主人あるじの長兵衞へ何ぞ土産みやげをと相談さうだんしけるに長兵衞は遠方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『お前が出抜だしぬけに入って来たので、私はだれかと思った。おゝ喫驚びっくりした。』とぐ床をしかして休んでしまいました。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
八ヶ月位であろう どうか育ちそうでもあるから。急に男共に手当をさして。まず例にって暖かい味噌みそ湯を母牛に飲ませ。寝わらを充分にしかこうしを母牛の前へ持来らしめた。
牛舎の日記 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
いとひなくば其所そこひえれば此方こなたにてと座敷の中へ花莚はなござしかせて二個ふたりせうずるに此方は喜び有難ありがたき旨をのべつゝ上へ登り風呂敷包ふろしきづつみ解開ときひらき辨當を出し吹筒すゐづつの酒を飮んとなしけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
オヤ/\乃公おれは隠して置いた酒さえも何時いつ他人ひとしりの下にしかれてしまうのか、と自分の運命をのろったのです。詛うと言えばすごく聞えますが、実は僕にはそんなすご了見りょうけんた気力もありません。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)