敗北はいぼく)” の例文
人の噂に味方みかた敗北はいぼくを聞くごとに、無念むねんさ、もどかしさに耐へ得ず、雙の腕をやくして法體ほつたいの今更變へ難きを恨むのみ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
さしも強情ごうじょう穴山梅雪あなやまばいせつも、ろんより証拠しょうこ民部みんぶのことばのとおり、味方がさんざん敗北はいぼくとなってきたのを見て、もうゆうよもならなくなったのであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大氣焔だいきえんもつ威張ゐばらされるので、品川軍しながはぐん散々さん/″\敗北はいぼく文海子ぶんかいしかへりにつてれといふのもかず、望蜀生ぼうしよくせいれて、せツせとかへ支度じたくした。ぷツぷツおこつてゞある。
生存競争の戦闘たたかいに於て、彼等は常に寄手よせてである。唯進んでち而して取ればよいのである。守ると云うは、有つ者の事である。守ると云うは、已に其第一歩に於て敗北はいぼくである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
他人を踏台ふみだいとしたり甚だしきは友人までも売って位地をめんとしたら、これまた勝利にあらずして敗北はいぼくなりと心得こころえ、よし名を挙げるにしても、卑劣ひれついやしき方法によりて得たならば
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「まだ納まりやしません。見るに見兼ねてお隣の浪人者が仲裁に入つたが、足が惡くてらちがあかないのに、ケチ兵衞の女房お百は手が早いから、したゝかに引つ掻かれて、大澤傳右衞門敗北はいぼくは大笑ひでせう」
此の根氣くらべは、遂に父子爵の敗北はいぼくとなツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
このふたりの論争ろんそうも、綿密めんみつ築城法ちくじょうほうのことから意見いけん衝突しょうとつし、しろ間道埋設かんどうまいせつ要点ようてんで、かなり論争ろんそうに火花をちらし合ったが、ついに八しゃりゅう敗北はいぼくとなって、月花流げっかりゅう熊本方くまもとがたでは
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この点に意を留めたなら世間でかれこれいう勝敗しょうはいなどのために心を動かすことなく、勝っても笑わず、負けても泣かず、勝利のために誇らず、敗北はいぼくのためになげかず、心つねに平々坦々たんたんとして
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かれがここへけつけてきたのは、山県蔦之助やまがたつたのすけ遠矢とおや敗北はいぼくがなんとも、ふしんな負けかたであり、しかねるてん多々たたあるので、徳川方とくがわがたの勝ちとさけんだ検証けんしょう一火いっか目付役めつけやくの者に
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)