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揚幕
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あげまく
ふりがな文庫
“
揚幕
(
あげまく
)” の例文
平次は近づいて死骸を起して、思はず息を呑みました、顏が
揚幕
(
あげまく
)
の方へ向いて居るので斯うするより外に傷口を見る方法は無かつたのです。
銭形平次捕物控:281 用心棒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
揚幕
(
あげまく
)
へまわってみているといきなり入って来て、何だ、要ちゃん、何をみているんだ? ——というから、おやじが是非みて置けといったからみているんだ。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
勝手の障子をサラリとあけると、顎十郎、
揚幕
(
あげまく
)
からでも出てくるような、気どったようすで現れてきて
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
幕は
揚
(
あが
)
った。
揚幕
(
あげまく
)
の霞を
出
(
い
)
づる、玉に
綾
(
あや
)
なす姿とともに、天人が見はるかす、松にかかった舞台の羽衣の
錦
(
にしき
)
には、脈打つ血が通って、おお空の富士の雪に
照栄
(
てりは
)
えた。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春章が
暫
(
しばらく
)
の図は
橘
(
たちばな
)
の
紋
(
もん
)
染抜きたる花道の
揚幕
(
あげまく
)
を
後
(
うしろ
)
にして
大
(
だい
)
なる
素袍
(
すおう
)
の両袖
宛
(
さなが
)
ら
蝙蝠
(
こうもり
)
の
翼
(
つばさ
)
ひろげたるが如き『
暫
(
しばらく
)
』を真正面より
描
(
えがき
)
しものにて、余はその意匠の奇抜なるに一驚せり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
それぞれの
見得
(
みえ
)
、幕引くと、九女八起上り
合方
(
あいかた
)
よろしくあって、
揚幕
(
あげまく
)
へ入る——
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
揚幕
(
あげまく
)
が上って、彼は、かけごえに迎えられて、花道をふんで行った。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「小磯扇次は
揚幕
(
あげまく
)
の蔭から顏を出して、浮氣心のお吉を誘つたのさ、その時種吉は土間を掃除して居たから知らない筈は無い」
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
仕丁 (
揚幕
(
あげまく
)
の
裡
(
うち
)
にて——
突拍子
(
とっぴょうし
)
なる
猿
(
さる
)
の声)きゃッきゃッきゃッ。(
乃
(
すなわ
)
ち
面長
(
つらなが
)
き
老猿
(
ふるざる
)
の面を
被
(
かぶ
)
り、
水干
(
すいかん
)
烏帽子
(
えぼし
)
、
事触
(
ことぶれ
)
に似たる
態
(
なり
)
にて——
大根
(
だいこん
)
、
牛蒡
(
ごぼう
)
、
太人参
(
ふとにんじん
)
、
大蕪
(
おおかぶら
)
。 ...
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
揚幕
(
あげまく
)
の中からは猛烈な囃しの音、特に
銅鑼
(
どら
)
を叩いている、五十恰好の
親爺
(
おやじ
)
は、妙にソワソワした様子で、首だけ出して水槽を覗いております。
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
鎖
(
とざ
)
した木戸を開けさして、真昼ながらなんとなく薄暗い小屋の中へ入ると、彫物師の雲龍斎又六は中二階の
揚幕
(
あげまく
)
の蔭、ちょうど、普賢菩薩を見張るような位置に
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
揚幕
(
あげまく
)
の陰から、梯子を登つて行くのが、間違ひもなく死んだ仙八親方、——チラリと見えた柄が、仙八親方が死ぬ時着て居た赤い
縞
(
しま
)
の入つた青い
袴
(
はかま
)
で、間違ひの無い品でございました。
銭形平次捕物控:265 美しき鎌いたち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
揚
常用漢字
中学
部首:⼿
12画
幕
常用漢字
小6
部首:⼱
13画
“揚”で始まる語句
揚
揚句
揚屋
揚子江
揚足
揚羽
揚々
揚物
揚場
揚代