抜群ばつぐん)” の例文
旧字:拔群
何百年かわからない古襖ふるぶすまの正面、板ののようなゆか背負しょって、大胡坐おおあぐらで控えたのは、何と、鳴子なるこわたし仁王立におうだちで越した抜群ばつぐんなその親仁おやじで。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かつその仲間の教育なり年齢なり、また門閥もんばつなり、おおよそ一様同等にして抜群ばつぐん巨魁きょかいなきがために、衆力を中心に集めて方向を一にするを得ず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
寝具も調度もいたって粗末ですが、お房の美しさは、死もまた奪う由もなく、それはまことに抜群ばつぐんのものでした。
「おお、二機も、やっつけたか。それは抜群ばつぐんの手柄じゃ。よし、あとで、褒美ほうびをやろう。昇進も上申してみるぞ」
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのそばに小さくなってシクシクと泣いているのは、十六七の小娘で、眉目みめうるわしさや、抜群ばつぐんの可愛らしさからみても、それはお君の妹のお吉でなければなりません。
いか、それへやうとふからには、ほたるほしちりやまつゆ一滴いつてきと、大海だいかいうしほほど、抜群ばつぐんすぐれた立優たちまさつたものでいからには、なにまた物好ものずきに美女びぢよ木像もくざうへやう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)