手負ておひ)” の例文
しかし、いち自動車じどうしや手負ておひごときは、もののかずでもない、たゝかへば驕將けうしやうは、張中ちやうちうせつれなかつた。ゆうなり、またけんなるかな。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
矢庭やにはに二人とも生捕いけどり引立ひきたてしは心地よくこそ見えたりけりよつて二人とも入牢申付られしが吉原にあり手負ておひの平四郎は四日相果あひはてし故檢視けんし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
私は障子越しに伯父を突きました——その時狂ひ立つた手負ておひの伯父につかみかゝられて、前に居たお北さんは血を浴びたのです。
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
月の光に漂ふは手負ておひせたる船一艘いつさう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
手負ておひの鷲の巣にかへり
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
呼出よびいだされ一通り尋ねらるゝにわかい者左吉重次郎千次郎の三人手負ておひの趣き又盜まれし千兩は一昨日蓮池はすいけ御藏より受取候金子にて殘らず私し方の極印ごくいんを打置候と見本の金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
手負ておひのお嘉代が、無理に身體を起さうとするのを、平次はやつと押へ乍ら
ああ、わが唇は手負ておひ接吻せつぷんを受く。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
のがるゝはずなし何か身におぼればこそ姿すがたかくせしとえたりといふうちはやも明渡りしかば早速さつそく町奉行まちぶぎやう大岡越前守殿ゑちぜんのかみどのうつたへ出けるに檢使けんしの者來りてきずあらた手負ておひの者に樣子やうす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)