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手負
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ておい
ふりがな文庫
“
手負
(
ておい
)” の例文
手負
(
ておい
)
はうんとばかりにのたりまわるを、丹治は足を踏み掛けて刀を取直し、
喉元
(
のどもと
)
をプツリと刺し貫き、こじられて其の儘
気息
(
いき
)
は絶えました。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
手負
(
ておい
)
を介抱したり、善後策を講じたりしているところへ、不意に与力同心が押寄せて、片っぱしからピシピシ縄にかけたということであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
愛吉が、
手負
(
ておい
)
の
傍
(
そば
)
で、口を
尖
(
と
)
がらかして
呼吸
(
いき
)
を切りながらせいせいいって饒舌った時には、居合わせた梅岡薬剤。神田の兄いだが、目を円くして驚いた。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孫軍曹は、そう
呶鳴
(
どな
)
っていたが、坑夫を分けて
手負
(
ておい
)
に近づくと、
愕然
(
がくぜん
)
としてその一人を抱きあげた。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
『紀伊続風土記』九十に
尾鷲
(
おわせ
)
郷の地士世古慶十郎高麗陣に新宮城主堀内に従って出征し、
手負
(
ておい
)
の虎を刺殺し秀吉に献じたが、噛まれた
疵
(
きず
)
を煩い帰国後死んだとは気の毒千万な。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
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一、上野介殿十分に討取候とも、
銘々
(
めいめい
)
一命
遁
(
のがる
)
べき覚悟これなき上は、一同に申合せ、
散々
(
ちりぢり
)
に
罷成
(
まかりなり
)
申まじく候。
手負
(
ておい
)
の者これ有においては、互に
引懸
(
ひっかけ
)
助け合い、その場へ集申べきこと。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
手負
(
ておい
)
のお嘉代が、無理に身体を起そうとするのを、平次はやっと押えながら
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
手負
(
ておい
)
の鷲は
翔
(
かけ
)
るまじ!
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
身を楯にかばいながら
白刄
(
しらは
)
の光をあちらこちらと
避
(
よ
)
けましたが、とうとうお柳は乳の下を深く突かれて、アッという声に、
手負
(
ておい
)
ながら幸兵衛は
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「漁師町は行水時よの。さらでもの、あの
手負
(
ておい
)
が、白い
脛
(
すね
)
で落ちると
愍然
(
ふびん
)
じゃ。見送ってやれの——
鴉
(
からす
)
、鴉。」
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道庵は
手負
(
ておい
)
を
抱
(
いだ
)
き起して、一方には自分の羽織を脱いで、その肩先の
創口
(
きずぐち
)
をしっかりと捲き、血留めをしておいて、さて応急の手当を試みようとしたけれど、遺憾ながら
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
刑事が来る、医者が来る、群集を追い出して、
手負
(
ておい
)
のマネキンを介抱したのが、十分も経ってからの事でした。傷は幔幕越しに、真後から心臓を一と突に刺したもので、全く助かりようはありません。
悪魔の顔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
已
(
や
)
むを得ず気の毒ながらも
深傷
(
ふかで
)
を負わしたが、一体何う云う仔細でまア水司又市を敵と探す者か、
此方
(
こちら
)
は
手負
(
ておい
)
で居るからせつない、これ娘お前泣かずに訳を云え
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
一旦逃げ散った穢多どもは、また
一団
(
ひとかたまり
)
になったけれども、今度は別に文句も言わずに、門前に斬り倒された数名の
手負
(
ておい
)
を引担いで、そのままいずこともなく引上げて行く模様であります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と
手負
(
ておい
)
に成りました山之助が、
漸
(
ようよ
)
うに血に染った手を突いて首を
擡
(
もた
)
げましたが
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云いながら
硯箱
(
すゞりばこ
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せますゆえ、おいさは
泣々
(
なく/\
)
蓋
(
ふた
)
を取り、
泪
(
なみだ
)
に墨を
磨
(
す
)
り流せば、
手負
(
ておい
)
なれども
気丈
(
きじょう
)
の丈助、金十万円の借用証書を認めて、
印紙
(
いんし
)
を
貼
(
は
)
って、
実印
(
じついん
)
を
捺
(
お
)
し、ほッ/\/\と息をつき
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
負
常用漢字
小3
部首:⾙
9画
“手負”で始まる語句
手負猪