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手場
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でば
譬へば
幻の
女の
姿に
憧がるゝのは、
老の
身に
取り、
極楽を
望むと
同じと
為る。けれども
其の
姿を
見やうには、……
沼へ
出掛けて、
四つ
手場に
蹲つて、
或刻限まで
待たねばならぬ。
四つ
手場を
留めにして、
小家で
草鞋でも
造れば
可が、
因果と
然うは
断念められず、
日が
暮れると、そゝ
髪立つまで、
早や
魂は
引窓から
出て、
城ヶ
沼を
差してふわ/\と
白い
蝙蝠のやうに
徉徜ひ
行く。