手勢てぜい)” の例文
伊部熊蔵いのべくまぞう山掘夫やまほりどもや、あとからくりこんだ大久保おおくぼ手勢てぜいは、みな、貝殻虫かいがらむしのように、砦の建物たてものにもぐりこんでているようす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼方あちらから来ればこねくる奴が控えて居る。何でも六、七人手勢てぜいそろえて拈込ねじこんで、理屈を述べることは筆にも口にもすきはない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
土方は手勢てぜいをまとめて清川に向い、まんいち高橋その他の邪魔立てもあらば、机竜之助と岡田弥市とがこれに当るという手筈てはずをここにきめました。
この砂漠に、醤麾下きかの最後の百万名の手勢てぜいが、炎天下えんてんかに色あげをされつつ、粛々しゅくしゅくとして陣を張っているのであった。
廿にぢう四年中に雑誌編輯ざつしへんしうの手を洗つてから、こゝとしること九年になります、ところの九の字がまた不思議ふしぎで、実は来春らいしゆんにもつたら、又々また/\手勢てぜいひきゐ雑誌界ざつしかいに打つて出やうとふ計画も有るのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
金山寺屋音松のひきいる手勢てぜいであった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
家康いえやす家来けらい大久保長安おおくぼながやす、あれはいま甲府こうふの民を苦しめている悪い代官だいかん、その手勢てぜいとたたかうことは、父や兄妹きょうだいあだに向かうもおなじことです
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昌仙しょうせんは用心ぶかく、裏口へ首だけだしてどなってみた。矢はしきりに飛んでくるが、さいわい、まだ伊那丸いなまる手勢てぜいはここまでみこんでいなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ありがとうござります。然し、こうして居っても、いつ何時、吉良家、上杉家のお手勢てぜいせて参らぬ限りもない故、なかなかまだ、風呂どころではござりませぬ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)