おもんぱかり)” の例文
宋人のみだりに変改を加へたのはおもんぱかりの足らなかつたものである。題号の外台は、徐春甫が「天宝中出守大寧、故以外台名其書」と云つた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
また彼象と鯨を造れるを悔いざれども、見ることさとき人はこれに依りて彼をいよいよ正しくいよ/\おもんぱかりあるものとなすべし 五二—五四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この分厘にいたく倦きたるころとて、前途のおもんぱかりなく、やめにせばやとひたすらすゝむ、母君もかく塵の中にうごめき居らんよりは、小さしといへども門構への家に入り
一葉の日記 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
かくすればかくなると直接に起こる因果の関係は何ぴとでもはかりやすきことであるが、その先は? なおその先は?と先の先までも推論を下して遠きおもんぱかりらす力は
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
その際、秘伝書を手に入れようという、深きおもんぱかりがあるものなら、もっと辛抱をしたでしょう。せき心で、おっかさんはと、初めて聞くと、少々加減が悪くって、というんです。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何等の遠いおもんぱかりもなく、何等の準備したくもなく、ただただ身の行末を思い煩うような有様をして、今にも地に沈むかと疑われるばかりの不規則な力の無い歩みを運びながら、洋服で腕組みしたり
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
しかるをおもんぱかりこゝに及ばせたまわで、甲兵を興し彊宇きょううを襲いたもう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此奴こいつよわつた。」——くだん同伴つれでないつれの案内あんないでは、あけがたつたのだが、此方こちらとほおもんぱかりがなかつた。そのひとのゆききしたのは震災しんさいのぢきあとだから、成程なるほど、そのころだとがあける。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)