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悠暢
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ゆうちょう
ふりがな文庫
“
悠暢
(
ゆうちょう
)” の例文
これは風情じゃ……と居士も、
巾着
(
きんちゃく
)
じめの煙草入の口を解いて、
葡萄
(
ぶどう
)
に
栗鼠
(
りす
)
を
高彫
(
たかぼり
)
した銀
煙管
(
ぎせる
)
で、
悠暢
(
ゆうちょう
)
としてうまそうに
喫
(
の
)
んでいました。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
円味をもった
袖
(
そで
)
や、
束髪
(
そくはつ
)
なぞの
流行
(
はや
)
って来た時世にあって考えると不思議なほど
隔絶
(
かけはな
)
れている
寛濶
(
かんかつ
)
で
悠暢
(
ゆうちょう
)
な昔の男女の姿や
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と忠告されたりしたことを思いあわせると、武蔵はこの先ともに、この二、三日のような
悠暢
(
ゆうちょう
)
な日を持つことが、自分には大事であると考えた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんな時期じゃあない、断じてそんな
悠暢
(
ゆうちょう
)
なときじゃあない」渡貫はせきこんだため言葉がつかえ、唇を
舐
(
な
)
めて、一語一語をゆっくりと云った
燕(つばくろ)
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
委
(
くわ
)
しい電報を打っておいたけれど、ちょうどいいあんばいに女が家にいるか、いないか分らない、とり分け気ばたらきのない、
悠暢
(
ゆうちょう
)
な女のことであるから……もっともその
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
▼ もっと見る
今は離れの一室に
籠
(
こも
)
っているが笑われたくないとか、山田家で
立
(
たて
)
かえるとしても、
悠暢
(
ゆうちょう
)
に遊ばせている金ではないとか、披露の式は都下の新聞紙にも掲載されるだろうから
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その後の科学の成行きを一目なりと
覗
(
のぞ
)
いてみたいなどと、
悠暢
(
ゆうちょう
)
なことを考えているのだ。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
と女は
悠暢
(
ゆうちょう
)
なもので、電話でも完全に笑い合う。それから急に声を低めて
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
二階などに
悠暢
(
ゆうちょう
)
に隠れているような、卑怯者は郷民にないかららしい。
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「左様、夫婦にしては年が違う、兄妹にしては他人行儀なところがある、
付人
(
つきびと
)
も
仲間
(
ちゅうげん
)
小者
(
こもの
)
ではない、どこの藩中という見当も、ちょっとつきかねる、そうかといって、ただの浪人にしては
悠暢
(
ゆうちょう
)
な旅だ」
大菩薩峠:22 白骨の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だが、地の利と、
嶮岨
(
けんそ
)
の安全感から、この人々は、
台風
(
たいふう
)
の
圏外
(
けんがい
)
にいる気もちで、至極、
悠暢
(
ゆうちょう
)
にかまえこんでいたらしい。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悠暢
(
ゆうちょう
)
な気の長い女であることはよく知っているので、そのつもりで辛抱して待っていたがしまいには辛抱しきれなくなって、いいようのない不安の思いに悩まされているうちに
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
「
悠暢
(
ゆうちょう
)
なはなしだな」と高木が云った、「それで望みがありそうかね」
しじみ河岸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
例によつて例のごとき、掛け値と値ぎり倒しの
悠暢
(
ゆうちょう
)
な対話である。そのうちに少年はふと、魚屋が何か答へては、そのたびに顔をわざとらしく伏せて、上眼づかひに盥の中を覗きこむのに気がついた。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
しかもその使いは、ことさら華やかに装い、従者に麗しい日傘をかざさせて、いかにも
悠暢
(
ゆうちょう
)
に、会宴の招待にゆく使いらしく櫓音も平和に漕いで行った。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをまた
他
(
た
)
の者も合点のように、石神様には発見した最初の男ひとりが
悠暢
(
ゆうちょう
)
に待ちかまえて、以外の者は平日どおり、みな野良へ戻って、青々とした
尺麦
(
しゃくばく
)
の鍬を持っているのであります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
悠
常用漢字
中学
部首:⼼
11画
暢
漢検準1級
部首:⽇
14画
“悠”で始まる語句
悠々
悠
悠然
悠長
悠揚
悠久
悠々閑々
悠悠
悠々自適
悠紀