念入ねんい)” の例文
それからモーひと申上もうしあげてきたいのは、あの願掛がんがけ……つまり念入ねんいりの祈願きがんでございまして、これはたいていひと寝鎮ねしずまった真夜中まよなかのものとかぎってります。
「そうかい。そいつは初耳はつみみだな。よしきた。そのけんもなお念入ねんいりにあらつてみろ。それからきみには、金魚屋きんぎょやとパチンコのことを調しらべてきてもらいたいんだがね」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
やぶらぬようにしずかにひらくと、疑いもなく地図である、それは山田がとくに念入ねんいりに書いたものらしい。四人はひと目それを見るやいなや、一度に声をあげた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
おぼかたはいけ粗雜ぞんざいだが、料理れうりはいづれも念入ねんいりで、分量ぶんりやう鷹揚おうやうで、いさゝかもあたじけなくないところうれしい。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そうだ。それともおまえさんのくるのをって、念入ねんいりの化粧けしょうッてところか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
長戸検事がかけつけ、怪魔のばらばらになったからだを念入ねんいりにしらべた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「何とも分らないな、団さんのことで念入ねんいりだから」
冠婚葬祭博士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「や、念入ねんいりなところまでつててやあがつた。野猫のねこことのない原場はらつぱだが。」
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もしこの気密がわるくなり、艇内の空気が外へもれはじめると、二少年は呼吸ができなくて死んでしまわなければならない。だから艇が気密になっているかどうかを、念入ねんいりにしらべる必要があった。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「や、念入ねんいりなところまでつててやあがつた。野猫のねこことのない原場はらつぱだが。」
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もう一度いちど念入ねんいりに川端かはばたあたつて、やがてたのが黒龜橋くろかめばし
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)