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心待
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こゝろまち
代助は
心のうちに、あるひは三千代が又
一人で返事を
聞きに
来る事もあるだらうと、
実は
心待に待つてゐたのだが、其甲斐はなかつた。
その千円が手に
入つたら、
腹癒に一つ思ひ切つて
洒落た茶会でも開いてやらうと、
心待にしてゐると、
其処へ届いたのは藤田氏からの一封で
今までは
毎年長い夏休みの
終る
頃と
云へば学校の
教場が
何となく恋しく授業の開始する日が
心待に待たれるやうであつた。
其のうひ/\しい
心持はもう
全く消えてしまつた。つまらない。
代助は
此前平岡の訪問を受けてから、
心待に、
後から三千代の
来るのを
待つてゐた。けれども、
平岡の
言葉は
遂に事実として
現れて
来なかつた。
翌日は平岡の返事を
心待に
待ち
暮らした。其
明る日も
当にして
終日宅にゐた。
三日四日と
経つた。が、
平岡からは何の
便もなかつた。
其中例月の通り、
青山へ
金を
貰ひに行くべき
日が
来た。