御髪みぐし)” の例文
旧字:御髮
蜀紅しょくこうにしきと言う、天蓋てんがいも広くかかって、真黒まくろ御髪みぐし宝釵ほうさいの玉一つをもさえぎらない、御面影おんおもかげたえなること、御目おんまなざしの美しさ、……申さんは恐多おそれおおい。
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御病気は決して御軽快になっていなかったのを、無理あそばして御挙行になった姫宮のお裳着の式から三日目に院は御髪みぐしをおろしになったのであった。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
やがて、お湯殿の上屋うわやのあたりで、みかどのお声がしていた。「……廉子やすこを呼べ」と、仰っしゃったようである。浴後の御髪みぐしやおんの奉仕にかしずいていた女官のひとりが
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あらぬさまにならせられ仁和寺にんなじの北の院におはしましける時、ひそかに参りて畏くも御髪みぐし落させられたる御姿を、なく/\おぼろげながらに拝みたてまつりし其夜の月のいと明く
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
みさぶらひ御髪みぐしに似るは乱菊らんぎくと申すと云ひぬてのみあれば
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
女王様わがきみの 御髪みぐしみつゝ
髪切虫 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ただこの観世音の麗相を、やや細面にして、玉のしろきがごとく、そして御髪みぐしが黒く、やっぱり唇は一点の紅である。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御髪みぐしをおり捨てになった御兄の院を御覧になった時、すべての世界が暗くなったように思召されて、悲歎ひたんのとめようもない。ためらうことなくすぐにお言葉が出た。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
御袖ならず御髪みぐしのたけときこえたり七尺いづれしら藤の花
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ただ伏拝むと、ななめ差覗さしのぞかせたまうお姿は、御丈おんたけ八寸、雪なす卯の花に袖のひだがなびく。白木一彫ひとほり、群青の御髪みぐしにして、一点の朱の唇、打微笑うちほほえみつつ、爺を、銑吉を、見そなわす。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はなてば螢とまりぬ香木かうぼくのはしらにひとつ御髪みぐしにひとつ
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)