御時おんとき)” の例文
草薙くさなぎつるぎ景行天皇けいこうてんのう御時おんとき東夷とうい多くそむきて国々騒がしかりければ、天皇、日本武尊やまとたけるのみことつかわして之を討たしめ給う。みこと駿河するがの国に到りし時……
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ちょっとした葭簀張よしずばりの茶店に休むと、うばが口の長い鉄葉ブリキ湯沸ゆわかしから、渋茶をいで、人皇にんのう何代の御時おんときかの箱根細工の木地盆に、装溢もりこぼれるばかりなのを差出した。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聖徳太子四歳の御時おんときのことと伝えられている。みずからそのむちをうけんと、父皇子の前に進んで出られた。
刀自という名前はその造酒司にあった三つの大酒甕おおさかがめの名として残っていたのが、後三条院ごさんじょういん御時おんときとかの火災に割れてしまったことは、たしか『古事談こじだん』に出ている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
笑う事を学ぶためには、まず増長慢を捨てねばならぬ。世尊せそん御出世ごしゅっせいは我々衆生しゅじょうに、笑う事を教えに来られたのじゃ。大般涅槃だいはつねはん御時おんときにさえ、摩訶伽葉まかかしょうは笑ったではないか?
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
筑後ちくごにはむかし繼體天皇けいたいてんのう御時おんとき磐井いはゐといふつよひとがをつて、朝鮮ちようせん新羅しらぎくに同盟どうめいして、天皇てんのうめいそむいたので、とう/\征伐せいばつされてしまひましたが、このひときてゐる時分じぶんから、いしでおはかつく
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
国郡の境を定めたもうということは、古くは成務天皇の条、また允恭天皇の御時おんときにもありました。これもまた『姓氏録』に阪合部朝臣さかあいべのあそんおおせを受けて境を定めたともあります。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
むかし、雄略天皇ゆうりやくてんのう御時おんとき河内かはち安宿郡あすかべぐんひと田邊伯孫たなべはくそんといふひとがありまして、そのむすめ古市郡ふるいちぐんひとへかたづいてゐましたが、ちょうどあかちゃんをんだので、伯孫はくそんはおいはひにそのいへきました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)