御厭おいと)” の例文
向暑ノ時節旅中折角御厭おいとヒ専一ニ存ジ候。草々頓首。監再拝。六月十一日。春濤老兄客窓ノ下。尚々順軒兄御渡海ノ節御同道、房州御一遊如何いかん
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あさこゝろそこはかとられまするうち御厭おいとはしさのたねまじるべし、かぎりもれずひろちてはみゝさへさへたま道理だうり有限あるかぎりだけのいへうち朝夕あさゆふものおもひのらで
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
不具になつても御厭おいとひなさらぬか、へ、自分がドンなに別嬪べつぴんだと思つて居るんだ、彼方あつちからも此方こつちからも引手ひくて数多あまたのは何の為めだ、容姿きりやうや学問やソンな詰まらぬものの為めと思ふのか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
見兼みかね給ふは御道理ごもつともなれども我等事うまれ付無能むのうゆゑ是非なくかくくらし候まゝ日々まゐらする物も心に任せず右さへ御厭おいとひなくば假令たとへ此上何時迄居らるゝとも決して御氣遣ひに及ばずとて押返おしかへしければ靱負ゆきへかうべ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)