やから)” の例文
枯れかかると直ぐに刈り取って風呂の下に投げ込むようなやからはともに語るに足らない。しかも商売人の植木屋とて油断はならない。
我家の園芸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
三十一歳までの清浄身しょうじょうしんを、なげうって、現在の僧侶にいわせれば、汚濁おじょくの海、罪業の谷ともいうであろう、蓄妻ちくさい噉肉たんにくやからになろうという意志を固めているのだ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしに助けられた連中だ。鳥や獣にだって病気はある。病気になれば誰だって悲しい。助けられると恩に感じる。人間よりはもっと感じる。実際どうも人間ほど、忘恩のやからはないからなあ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
枯れかかると直ぐに刈り取って風呂の下に投げ込むようなやからともに語るに足らない。しかも商売人の植木屋とて油断はならない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こういうやからの習い、得物えものをわざと投げ出したのは、こっちに油断させる為であろうと、半七は用心しながら追ってゆくと、式部は奥の八畳の間へ逃げ込んで
半七捕物帳:26 女行者 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ひとひと、われは我、さやうなやからにはおかまひなく、お前樣まへさまは飽までも御先祖以來の御家風によつて……。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
外記 書置などと云ふものは、この世に未練のあるやからが、亡き後を思うて愚痴をかき殘すか。或はこの世に罪あるものが、詫状代りに書きのこすか、二つにひとつ。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
のままに眠ってしまえば、彼等は平和に夢を結ばれたのであろうが、かかやからの癖として重蔵は懐中ふところから小さなさい取出とりだした。二人は焚火のそばで賽の目の勝負を争った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
県令はその当時埋葬に従事した土工らを大勢よび出してみると、いずれも相貌そうぼう兇悪のやからばかりだ。
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
正親 神の御告をあざけるやからは惡魔も同然ぢや。退すされ、すされ。(御幣にて加賀を打つ。)
能因法師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
かういふ餘儀ない事情は彼等を驅つて放縦懶惰ほうじゆうらんだの高等遊民たらしめるより他はなかつた。かれらの多くは道樂者であつた。退屈しのぎに何か事あれかしと待構へてゐるやからであつた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
こういう余儀ない事情はかれらを駆って放縦ほうじゅう懶惰らんだの高等遊民たらしめるよりほかはなかった。かれらの多くは道楽者であった。退屈しのぎに何か事あれかしと待ち構えているやからであった。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あまりに悪いことをすると、巡査が隊を組んで山狩りを始めるのですが、そういうやからですから、どこへか素早く逃げ隠れてしまって、なかなか狩り尽くすというわけにはゆかないそうです。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
又は九州の熊襲くまそやからもありましょう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)