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座布團
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ざぶとん
……
少しばかり
巾着から
引だして、
夫人にすゝむべく
座布團を
一枚こしらへた。……お
待遠樣。——これから
一寸薄どろに
成るのである。
それから
續いて
心臟の
軍人が、
眞紅の
天鵞絨の
座布團の
上に、
王樣の
冠を
戴せて
持つて
來ました、
此の
壯麗な
行列の
總殿には、
心臟の
王樣と
女王樣とが
在らせられました。
敷合せ
疊三疊、
丁度座布團とともに、その
形だけ、ばさ/\の
煤になつて、うづたかく
重なつた。
下も
煤だらけ、
水びたしの
中に
畏つて、
吹きつける
雪風の
不安さに、
外へ
出る
勇氣はない。
それ、と
二つ
三つほこりをたゝいたが、まだ
干しも
何うもしない、
美しい
夫人の
移り
香をそのまゝ、
右の
座布團をすゝめたのである。
敢てうつり
香といふ。
留南木のかをり、
香水の
香である。