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床間
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とこのま
ふりがな文庫
“
床間
(
とこのま
)” の例文
鞄
(
かばん
)
を置いたる
床間
(
とこのま
)
に、
山百合
(
やまゆり
)
の花のいと大きなるを
唯
(
ただ
)
一輪
棒挿
(
ぼうざし
)
に
活
(
い
)
けたるが、
茎形
(
くきなり
)
に
曲
(
くね
)
り傾きて、あたかも
此方
(
こなた
)
に向へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
古戦場を弔うような感想を生じてその一軒に入り、
中食
(
ちゅうじき
)
を求め数多き一間に入って食いながら
床間
(
とこのま
)
を見ると、鉄砂で黒く塗りいる。他の諸室を
歴
(
へ
)
巡
(
めぐ
)
るに皆同様なり。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
と、
間
(
あい
)
の
襖
(
ふすま
)
が開き、何かチロチロと入って来た。それは一匹の大
鼬
(
いたち
)
であって、
颯
(
さっ
)
と
床間
(
とこのま
)
へ駈け上ると、壺と地図とを両手で抱え、それから後足で立ち上り、静かに隣部屋へ引返した。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
三時の
茶菓子
(
おやつ
)
に、
安藤坂
(
あんどうざか
)
の
紅谷
(
べにや
)
の
最中
(
もなか
)
を食べてから、母上を相手に、
飯事
(
ままごと
)
の遊びをするかせぬ
中
(
うち
)
、障子に映る
黄
(
きいろ
)
い夕陽の影の見る見る消えて、
西風
(
にしかぜ
)
の音、樹木に響き、座敷の
床間
(
とこのま
)
の黒い壁が
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しわす、
晦
(
つごもり
)
の雪の夜に、
情
(
なさけ
)
の宿を参らせた、貧家の
衾
(
ふすま
)
の
筵
(
むしろ
)
の中に、旅僧が小判になっていたのじゃない。魔法
妖術
(
ようじゅつ
)
をつかうか知らん、お客が
蝦蟆
(
がま
)
に変じた形で、ひょこんと
床間
(
とこのま
)
に乗っている。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
床間
(
とこのま
)
には百合の花も在らず
煌々
(
こうこう
)
たる
燈火
(
ともしび
)
の下に座を設け、
膳
(
ぜん
)
を据ゑて
傍
(
かたはら
)
に
手焙
(
てあぶり
)
を置き、茶器
食籠
(
じきろう
)
など
取揃
(
とりそろ
)
へて、この一目さすがに旅の
労
(
つかれ
)
を忘るべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
宵の程
誂
(
あつら
)
へ置きし
酒肴
(
しゆこう
)
の
床間
(
とこのま
)
に上げたるを
持来
(
もてき
)
て、
両箇
(
ふたり
)
が中に膳を据れば、男は手早く
燗
(
かん
)
して、その
間
(
ま
)
に
各
(
おのおの
)
服を
更
(
あらた
)
むる
忙
(
せは
)
しさは、
忽
(
たちま
)
ち
衣
(
きぬ
)
の
擦
(
す
)
り、帯の鳴る音高く
綷※
(
さやさや
)
と乱れ合ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
床
常用漢字
中学
部首:⼴
7画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“床間”で始まる語句
床間掛