“とこのま”の漢字の書き方と例文
語句割合
床間100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
三時の茶菓子おやつに、安藤坂あんどうざか紅谷べにや最中もなかを食べてから、母上を相手に、飯事ままごとの遊びをするかせぬうち、障子に映るきいろい夕陽の影の見る見る消えて、西風にしかぜの音、樹木に響き、座敷の床間とこのまの黒い壁が
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
しわす、つごもりの雪の夜に、なさけの宿を参らせた、貧家のふすまむしろの中に、旅僧が小判になっていたのじゃない。魔法妖術ようじゅつをつかうか知らん、お客が蝦蟆がまに変じた形で、ひょこんと床間とこのまに乗っている。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
床間とこのまには百合の花も在らず煌々こうこうたる燈火ともしびの下に座を設け、ぜんを据ゑてかたはら手焙てあぶりを置き、茶器食籠じきろうなど取揃とりそろへて、この一目さすがに旅のつかれを忘るべし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)