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かううん
ロレ さ、
速う
往きゃれ。さらばぢゃ。
貴下の
幸運は
只此一つに
繋る、
夜番の
置かれぬうちに
出立するか、さなくば
夜明くる
頃姿を
窶して
此市を
遠ざかるか、
二つに
一つぢゃ。
『
兩君!
君等の
幸運を
祝します。』と
言つたまゝ、
頭を
廻らして
左右を
顧見た
時、
忽ち、
艦の
後部艦橋を
降つて、
歩調ゆたかに
吾等の
方に
歩んで
來た
一個の
海軍大佐があつた。
はじめの
間は
日出雄少年も
私も
互に
顏を
見合せては
此不思議なる
幸運をよろこび、
大佐等の
懇切なる
待遇を
感謝しつゝ、いろ/\と
物語つて
居つたが、
何時か十
數日以來の
烈しき
疲勞の
爲めに