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巨萬
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きよまん
と
筆先十露盤玉にて
掠め始めしが主人は
巨萬の身代なれば少しの金には
氣も付ず
僅に二年の内に
金子六十兩餘を
掠め
取り今は熊本に
長居は
益なし近々に此土地を
埋る
許り又忠兵衞は忠相ぬしが
活機明斷凡ならで
今更めて
婚姻結び
𫥇人とまで成給はんと
述給はるの有難さは是のみならず和吉お金も思ひ
掛なきお奉行のお聲掛りは一世の
榮巨萬の金を
つけ
晝夜となく
駈廻り
働く程に夫婦は又なき者と
慈しみける扨も
此餠屋と云は
國主細川家の御買物方の御
用達にて御城下に
隱もなき
加納屋利兵衞とて
巨萬の身代なる大家に數年來
實體に奉公を