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川崎
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かはさき
……
寂しいにつけ、
陰氣につけ、
隨所停車場の
燈は、
夜汽車の
窓の、
月でも
花でもあるものを——
心あての
川崎、
神奈川あたりさへ、
一寸の
間だけ、
汽車も
留つたやうに
思ふまでで
お
高僧頭巾に
肩掛引まとひ、
良人の
君もろ
共川崎の
大師に
參詣の
道すがら
停車塲の
群集に、あれは
新橋か、
何處ので
有らうと
咡かれて、
奧樣とも
言はれぬる
身ながら
是れを
淺からず
嬉しうて
『
義母川崎へ
着きました。』