かう)” の例文
解つたか、味噌摺みそすり奴、——手前は腹の惡い人間ぢやねえが、主人大事がかうじて、外の者へツラく當り過ぎるよ、氣を付けやがれ
彼女の音楽好きは益々かうじて来た様子であるが、云ふまでもなく、彼女自身はその理由をつきとめてはゐないのである。
日本三文オペラ (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
何處へゆく、斯ういふ人の所へ行く、嘘を言へ、何が嘘だ、がかうじてたうとう此處まで引きずられて來たのださうだ。青年たちも生方君も汗ぐつしよりである。
樹木とその葉:34 地震日記 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
所詮しよせんかうじて、眞暗まつくらがり。てのひらえいでも、歴々あり/\と、かげうつる、あかりしてもおなことで。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
唯、同僚の悪戯が、かうじすぎて、まげに紙切れをつけたり、太刀たちさやに草履を結びつけたりすると、彼は笑ふのか、泣くのか、わからないやうな笑顔をして、「いけぬのう、お身たちは。」と云ふ。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
彼の惰性的な遊び癖も一層かうじて来ない訳に行かなかつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
女房のお角とぐるになつて菊屋の主人から金を引出したが、段々それがかうじて妙に嫉妬やきもちを燒くやうになり、大口の金をせしめて、菊屋を殺す氣になつたのだ。
萬七とガラツ八の爭ひのかうずるのをおそれて、お品がそつと人を走らせ、笹野新三郎に助けを求めたのでした。
手數のいらない女癖がかうじ、若い下女などは、三月とも居付かないといふから達者なものでせう。
綿わたの師匠などが、會所や床屋とこやの男達のクラブに相對して、蓮葉はすつぱ娘達の寄合ひ場所になつてゐた頃、縁結びからかうじて、附け文ごつこにまで發展し、町内から隣町へかけての
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「それがかうじて到頭、昨夜の縁臺の獨り月見で、主人の金兵衞半死半生の目に逢つた」
「わかつた、八。こいつは俺の言ひ過ぎだ、勘辨してくれ。ツイ冗談がかうじたんだ」
口惜しさがかうじて、飛出さうと思ひましたが、私が飛出したところで、驚くやうなお染ではございません、兎も角も父親に見せる積りで、母屋へ入つて父親の部屋に聲を掛けますと
銭形平次捕物控:260 女臼 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
これは清兵衞のためには恩も義理もある香具師やし仲間の大親分星野屋駒次郎の忘れ形見で、二人は當然お客樣扱ひで暮すべき筈ですが、姉のお北が美し過ぎるため、女房お杉の嫉妬しつとかうじて
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
昨夜はそれがかうじて、あの通り薄化粧に長襦袢ながじゆばんの此上もないなまめかしい姿で、酒まで用意して文三郎を引入れた、——十八になつた文三郎が、年増女の恐しいさそひを振り切ることも出來ず
かつては淺草で左官をして居た彦兵衞、飮む、打つの道樂がかうじて、一時は巾着切の仲間にまで身を落しましたが、今から五年前、別れてゐた女房の末期のいさめに、飜然ほんぜんとして本心に立ちかへ
白旗しらはたなお八は如才なく仲裁説を出しました。昔は板倉屋の札旦那の伜でしたが、道樂がかうじて勘當され、今では伴三郎の用心棒にもなれば、太鼓も打つといつた御家人崩れの、これも三十男です。
考へ込んでゐると言つた、世にいふ氣欝きうつかうじた症状だつたのです。
「そいつは危いぜ、親分、辻斬は大抵、腕自慢がかうじた野郎だ」
それがかうじて勘當されることになつたのでせう。